親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
第1回目のゲストは、広告代理店に勤めながら、アーティスト活動も行うクリエイティブディレクター・川村健一さん。在宅ワークで創作意欲を高める2つのポイントや、インスピレーションの源泉、家具選びのこだわりについてうかがいました。

ある日突然、在宅ワークに。
はじめは誰だってうまくいかない

仕事のなかで学ぶこともあれば、自分で勉強することもありますね。デジタル業界は流れが速いので、そのとき需要がある技術だけを学んでいても、いつの間にかその領域のトレンドが終わっていた、ということが起きてしまう。だからこそ、つねに新しい領域に手を伸ばして、自らスキル習得の機会をつくるようにしています。
仕事とアーティスト活動の線引きはあまりしていません。しいて言えば、今はビジネスにはならないかもしれないけれど自分自身がワクワクするような取り組みであれば、アーティストとして積極的に関わるようにしています。
アーティスト活動は、クリエイティブテクノロジストの仕事にも良い影響を与えていると思います。この仕事は、テクノロジーの力で課題に対して最適な体験を導くことを求められるのですが、最新の技術を駆使するがゆえ、前例がないことも多いんです。だからこそ、自分自身で表現の場を持ち、感性や新しい体験の引き出しをストックしておくことがすごく大切だと思っているんです。
― アーティスト活動とお仕事がお互いに良い影響を与え合っているのが素敵ですね。そんな川村さんですが、いつから在宅ワークをされているのでしょうか?
コロナが流行しはじめてすぐに、勤務先が在宅ワークに切り替わりました。ぼくの仕事はもともと、デジタルサイネージやプロジェクションマッピング、センサーなどを活用した現場が多く、プライベートでも週末はイベントによく行っていたので、生活が大きく変わりました。人と会うことやフィジカルの体験によって、インスピレーションを得ることが多かったので、在宅ワークが続くなかでは創作意欲が枯渇しがちで、どうやって意欲を高めるかという課題を抱えていたんです。
創作意欲が減退。
危機感から生まれた2つの工夫
― 創作意欲が枯渇してしまった理由はどこにあると思いますか?
コロナ以降、仕事自体も現場に出向くものではなく、家でできる企画や制作の仕事がほとんどになったんです。もちろん業務としてはやっていけるのですが、果たして目の前の仕事だけで自分は満足できるのかと考えました。
本来は家の外での活動から刺激を受けていた自分は、在宅ワークが続くなかではとくに、仕事以外の時間も充実させないとダメになるのではないかという危機感があったんです。状況を変えるための一歩として、まずは「なにかをやろう」と思ったときにすぐに動ける状況をつくろうと工夫しました。

― クイックに行動し、創作意欲を高めるために、具体的にどのような工夫をしましたか?
2つ意識した点があるのですが、1つめは「フリクション(摩擦)をなくすこと」です。いざ行動しようとしたときに手間を感じると、腰が重くなってしまうじゃないですか。たとえば、ジムに行きたいけれど雨が降っているとか、インターネットで買い物しようと思ったのにサイトの構造がわかりづらくて買う気が失せてしまうとか。
「行動しよう」という気持ちを阻害するマイナス要素を減らすために、まずは部屋から変えようと思ったんです。具体的には、気が散る要因にもなっていた配線をきれいにまとめたり、画面上の細かい表現を確認しづらい状況を打破するためにモニターアームを導入したり、3Dを軽快に操作できるようなハイスペックPCを自作したりしましたね。わが家は昨年から猫と暮らし始めたのですが、そういう意味でも配線をまとめるのは大事でした(笑)。


配線もデスク下にすっきり収納されている
ほかにも、ウェブ会議用のマイクを買ったり、デスク周りを使いやすく整えたりしました。とにかく行動することへの心理的ハードルを低くする。費用はかかりましたが、効果を考えれば安いものです。クリエイターは自分の環境にこそ投資するべきだと思いますね。
― 2つ目のポイントはなんでしょうか?
「ワクワクをつくること」です。マイナス要素を減らすところから一歩進んだら、次はプラスを生み出すアプローチです。ぼくの場合「いいもの」に触れていることが「ワクワク」につながります。
たとえば映画やドラマを観て、その作品に注ぎ込まれているクリエイターの情熱に触れたり、職人が手がけた家具の質感に触れたりしていると、エネルギーをもらえると思っていて。そうした要素を生活のなかに持ち込むことを心がけています。
在宅ワークには、自分の気持ちが高まる投資を。川村さんの家具選び
― 「いいもの」を意識されている川村さんは、仕事用の椅子選びにもこだわりがあるのでしょうか?
やっぱり前提として座り心地は大切ですよね。以前はシンプルでかっこよければなんでもいいと思って、ぱっと目についた椅子を使っていたのですが、腰や肩が疲れてしまって……。長時間座ることになる椅子は、かっこいいだけではダメなんだと気づきました。そこから、オカムラのコンテッサを使うようになりました。いま使っているのは2台目で、「コンテッサ セコンダ」を使っています。


― いろいろな椅子があるなかで、オカムラのコンテッサを選んだ決め手はなんだったのですか?
海外ブランドのワークチェアが市場を席巻していた2000年代の初期に、オカムラが高級オフィスチェアを出したことが自分の周りで話題になっていたんです。そこでぼくも家具屋に行って試しに座ってみた、というのがオカムラとの初めての出会いですね。
ほかのメーカーのものも含め、いろいろな椅子に座った結果、ぼくにはコンテッサがいちばんフィットしました。昔使っていた椅子は、座っていることに対して疲労感を感じるというか、集中力が途切れる瞬間があったんです。一方、コンテッサにはネガティブな点がない。オカムラは日本のメーカーで日本人に合った設計だからこそ、座り心地も軽く、自分に合ったのだろうなと思います。
― それまで使っていた椅子とは違いましたか?
全然違いますよ!まさにフリクションがなくなった感覚でした。しかも、昔使っていた椅子は3年くらいでダメになってしまったのですが、コンテッサは1台で17年も使い続けることができました。1年あたりに投資した金額で考えると、コンテッサのほうがお得感もありますね。
― フリクションをなくすことに、コンテッサも一役買っていたのですね。
それだけでなくコンテッサは「ワクワクをつくること」の要素も持ち合わせていると思います。金属の質感や曲線のデザインへのこだわりも非常に感じられますし、「いいもの」に座れているという実感によって、自分自身の気持ちも高まるんです。17年使用していた1台目に続き、2台目のコンテッサセコンダとも長いつき合いになりそうです。


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