子ども部屋にこだわりのチェア&デスクで執筆空間を確保。40代にして小説家を目指すエッセイスト・清繭子さんのワークスペース
ワークスペースの美学

子ども部屋にこだわりのチェア&デスクで執筆空間を確保。40代にして小説家を目指すエッセイスト・清繭子さんのワークスペース

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Sylphy(シルフィー)

仕事や趣味などに気兼ねなく取り組むことができるその人だけの空間、ワークスペース。その人の考え方や行動様式が、色濃く反映される場所でもあります。「ワークスペースの美学」は、自分自身の心地よいライフスタイルを実践している方にご登場いただき、そこに至った経緯や魅力、結果として得られたものなどについて伺うインタビュー連載です。


9回目のゲストは、ライター、エッセイストの清繭子さん。


「小説家になる」という夢を叶えるために、40歳を目前に17年間勤めた出版社を退社した清さん。現在は小学生と保育園に通う2人の子どもを育てながら、フリーランスのライター・編集者として働き、子ども部屋の一角に作ったこだわりの仕事スペースで執筆に励んでいます。


子どものおもちゃがたくさん同居する部屋で、どのように集中できる執筆環境を整えたのか。お部屋のこだわりについて、清さんに伺いました。

安定した会社を辞め、40代にして「小説家を目指す人」に

—清さんは「小説家になりたい」という夢を公言しながらライター、エッセイストとして活動されていますが、ここまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

大学卒業後、新卒でオレンジページに入社し、雑誌や書籍の編集者として17年間働いてきました。昔から「雑誌」が好きだったんですよ。暮らしからインテリア、コラム、人生相談まで、色々と入っているところが飽き性の自分に合う気がして。

雑誌やまんが、絵本の編集は楽しかったし、やりがいもありました。でも、それとは全く別で「小説を書きたい」「自分の名前で仕事をしたい」というモヤモヤがずっと胸の中にあったんですね。


小説はずっと書いていましたし、小さな文学賞で賞をもらったこともありましたが、本業としては踏み切れなかった。


それは結婚して、2児を育てるママになっても変わりませんでした。会社員をしながら刺繍で詩を描く作家としても活動してみましたが、刺繍1本で食べていけそうにもなかったのでそちらの道も諦めました。

そこから会社員としての安定を捨て、「小説家を目指す」と決意したきっかけは?

尊敬していた編集者の先輩が、50歳の若さで亡くなられたことです。本当に突然の、心臓の病気でした。私と同じく子育て中のママであり、名物編集者であった彼女が亡くなった後、編集部に挨拶に来られたご家族が「彼女は大好きな仕事をやりきった、幸せな一生でした」とお話してくださったんですね。


その言葉を聞いて、「じゃあ自分はどうなんだ?」と思ってしまったんです。出産したからとか、稼げないからとか、できない言い訳ばかりを探して踏み出してこなかった。

でも、人生は1回きりしかないのだから、やっぱり私は小説家を目指したい。そう覚悟を固めて、40歳になる直前に会社を辞めました。


……と話すと格好いいかもしれませんが、17年間辞められなかったくらいなので、私って本当は慎重なんですよ。退職届を出す前にファイナンシャルプランナーさんに相談して、「貯金はこれだけあって、家のローンがこれくらい残っていて、共働きで子ども2人をこれから大学まで育てるにはいくら必要ですか?」と試算してもらって。なんとか破綻しないで済みそうだ、と確かめてから会社を辞めました。


残業ばかりでお金を使う暇がなかったので、とりあえず貯金していた過去の自分のおかげです。

現在はどのような働き方をされているのでしょうか?

フリーランスのライター・編集者として収入を得つつ、それ以外の時間は小説の執筆に充てています。ライターとして仕事を受けるときは、「小説の執筆に役立ちそう」かどうかを基準にしています。


今、朝日新聞社が運営しているWeb媒体の「好書好日」で、新人賞を受賞した作家にインタビューする「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」という連載を持っています。これは自分から編集長に出した企画が運良く通ったものなのですが、 連載を通じて作家さんのお話をたくさん聞き、自分の小説に活かしたいというのが大きな動機です。


また、「小説家になりたい人(自笑)日記」というタイトルでこれまでの日々を綴っていたnoteが書籍化されることになり、昨年には『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)というエッセイ集の形で初の著書を出版をすることもできました。

リビングには大きな本棚が。自身が携わったものや参考にしている書籍だけでなく、

子どもの本も一緒に置いている。

子ども部屋の一角に作ったこだわりの執筆スペース

ワークスペースについても教えてください。普段のお仕事はご自宅でされているそうですね。

この家を建てたのは2018年です。その時点では会社を辞めるつもりはなく、執筆スペースを作る発想はまったくありませんでしたね。子どもが乳幼児だった頃は、夜泣きにすぐ対応できるよう1階の寝室の隣にあるウォークインクローゼットにノートPCを持ち込んで、小説を書いていました。


その後、2022年に会社を辞めて独立したのをきっかけに、2階のリビングの隣にある子ども部屋の一角に自分用の執筆スペースをつくりました。

ドアから入って手前側に子ども用のおもちゃがたくさん置かれている。

自身の執筆スペースは奥の壁に向かうデスク。

なるほど。お子さんたちの楽器やおもちゃと執筆のためのワークスペースが同居していますね。こだわりのポイントについて教えてください。

一番こだわったのはワークチェア選びです。私はお尻の肉が薄いので、会社員時代から座面が硬い椅子が苦手だったんですよ。でも、有名な高機能オフィスチェアは座面が硬いものが多くて、かつ小柄な私には大きすぎて。

—高機能ワークチェアは高額ですから、失敗したくないポイントですよね。

そうなんです。高い買い物だからこそ、実際に座らないままネットで買って失敗したくなかったし、絶対に自分に合うものを選びたかった。そんな理由から、実際に店頭で試しに座りながらチェアコンシェルジュに直接相談できる「WORKAHOLIC(ワーカホリック)」を利用して選んだのが「Sylphy(シルフィー)」です。

チェアコンシェルジュに相談してとことん自分仕様に

シルフィーを選んだ決め手は?

シルフィーは座った瞬間に、お尻から背中にかけてふんわりと包みこまれるような安心感があったんです。座面のクッションも私にはちょうどよくて、すぐに「これだ!」と第一候補になりました。


オプションで肘を置くアームも選べたのですが、私の場合は座面に足を乗っける姿勢を取ることも多いので、あえてつけませんでした。その代わり、後頭部を支えてくれるヘッドレストをつけたところ、会社員時代からひどかった肩こりがなくなったんですよ! 自分に合う椅子選びって本当に大事なんだなと実感しました。


購入から丸2年経ちましたが、全然へたりませんね。子どもが気に入ってゴロゴロ動かして遊ぼうとするたびに「高いからやめて!」と懇願しています(笑)。

椅子の上では、リラックスして足を乗せる姿勢をとることが多い

デスクも素敵です。こちらはどのように選んだのでしょう?

デスクは、「ACME Furniture」という家具屋さんで購入した「BROOKS DESK(ブルックスデスク)」という商品です。会社を辞めたときに、実家の両親と兄妹が独立祝いをくれたのでそのお金で思い切って購入しました。


シルフィーと一緒で、このデスクも購入時に私の身長に合わせたいと思って。だから、脚を短く切ってもらいました。キーボードに手を置いたとき、肩から先がすっと自然に下がるように、目線がまっすぐになるように、そして足裏が床についたとき膝が直角になるようにと、お店の人にアドバイスをもらいながら高さを調整してもらいました。


このデスクとチェアを使うようになってからは肩こりや腰痛の悩みがなくなって、PC作業の負担がぐっと軽くなりました。

肩から腕をおろし、足の裏がピタリと地面につく姿勢を心がけることで、体が楽になったそう

ちなみに、「好書好日」の連載では毎回、新人賞を受賞した作家さんの仕事場を訪れてインタビューしているのですが、執筆環境は皆さんまったく違っていてバラバラです。


私のようにノートPCに加えてモニターを使う人もいれば、ノートPCだけで書いている人、テキストエディタにこだわる人や、執筆ソフトはWordしかないと思っている人など、それぞれに全然違うところが面白いですね。

あえて壁向きにして「こもる」ことで集中力を上げる

解放感のある「窓向き」のワークスペースにすることもできたと思うのですが、あえて「壁向き」にしたのはなぜですか?

最初は窓向きで考えていたんですよ。でも書く作業って「こもる」ほうが集中できる気がするので、壁向きにしてここだけ壁紙を変えることで変化をつけました。


緑を感じたいなと思ったので、19世紀末から20世紀初頭のウィーンで活躍した画家のグスタフ・クリムトの絵の輸入壁紙を買って、自分で貼りました。クリムトの絵っていろんな色彩が入り混じっているので、じっと見ていられるんです。

クリムトの壁紙に、お子さんたちの絵が重ねられるようにして飾られている

顔を上げたときに目に入る絵はお子さんたちが描かれたものですか?

そうです。デビュー作となった『夢みるかかとにご飯つぶ』の装画を上の子が真似して描いてくれました。


上の子は今、小学1年生なのですが、学校で使っているタブレットで『夢みるかかとにご飯つぶ』を検索して「これはうちのお母さんの本だよ!」と友達に自慢してくれているみたいです。

子ども部屋のワークスペースは「子どもに仕事道具を触られるのでは」という心配もありそうですが、清さんは何か対策をされているのでしょうか。

「ママの机の上をいじったら、おうちにお金が入らなくなります。そしたらおもちゃも買えなくなるし、旅行にも行けなくなります! だから絶対に触っちゃだめだからね」と普段からしつこく子どもたちに伝えているので(笑)、今のところは「うん、わかった」と納得して触らずにいてくれていますね。


ただ、これから子どもたちが成長して「自分だけの部屋がほしい」と言い出すと、このワークスペースの形も変わっていくかもしれません。

今、子どもたちが絵を描いたりものを書いたりするための小さな机は、リビングのそばに。これから成長に合わせて、ワークスタイルが変わる可能性も

ところで、ずっと自宅で作業をしていると、オンオフの切り替えが難しいと感じる人もいます。気分転換はどんな風に?

仕事に集中すると時間があっという間に経ってしまいますが、30分ごとにポッポーと鳩が出てくる無印良品の鳩時計のおかげで、ほどよくリズムが保てている気がします。「あ、もうこんな時間」とハッとさせてくれるので、お茶を淹れて休憩を取るタイミングにもなっていますね。私はコーヒーが苦手なので、家ではいつも紅茶を飲んでいます。


それ以外にも頭をシャキッとさせたいときは、ガムを食べてリフレッシュしたり、近所のジムに行って1時間だけヨガをしたりしています。疲れたときは友人にプレゼントしてもらったお香や、アロマランプディフューザーの灯りと香りに癒やされています。

自宅の作業に欠かせない鳩時計と、アロマディフューザーと、ガム。すべてデスク周りに常備している

エッセイの腕を磨きつつ、小説家を目指したい

お子さんたちの成長に応じて、ワークスペースの形も今後は変わっていくかもしれませんね。最後に、これからの目標を教えてください。

やっぱり小説家になることです。エッセイは書いてみたらすごく面白かったですし、2冊目も出してエッセイストとしてもやっていけたらという思いはありますが、やっぱり小説家になるという夢を叶えたい。

書きたいテーマは色々ありますし、あえて「自分とはかけ離れた嫌いなタイプの人」を書いてみたり、エッセイと小説の境目がわからなくなる実験をしてみたりと、いろんな書き方にも挑戦している最中です。

今後も公募の文学新人賞に向けて、一作ずつ精一杯書いていくつもりです。

Sylphy
[シルフィー]
PROFILE
川村健一

清繭子

ライター、エッセイスト

1982年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に17年間携わったのち、小説を書く時間を作るため、フリーランスに。WEBサイト「好書好日」で連載インタビュー「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を担当。2024年、初エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)を刊行。


X:https://x.com/kiyoshi_mayuko

note:https://note.com/mayuko_kiyoshi

CREDIT

取材・執筆:阿部花恵 撮影:藤原葉子 編集:桒田萌(ノオト)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

¥0,000

PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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