4面モニターで作業効率を追求。編集者・ライターの長谷川賢人さんが過ごす、仕事と暮らしが共存する古民家ワークスペース
ワークスペースの美学

4面モニターで作業効率を追求。編集者・ライターの長谷川賢人さんが過ごす、仕事と暮らしが共存する古民家ワークスペース

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Baron(バロン)

仕事や趣味などに気兼ねなく取り組むことができるその人だけの空間、ワークスペース。その人の考え方や行動様式が、色濃く反映される場所でもあります。「ワークスペースの美学」は、自分自身の心地よいライフスタイルを実践している方にご登場いただき、そこに至った経緯や魅力、結果として得られたものなどについて伺うインタビュー連載です。


8回目のゲストは、編集者・ライターの長谷川賢人さん。Webメディアを中心にさまざまなジャンルのコンテンツ制作を手がけながら、ブックライティングやボイスドラマの脚本執筆、音声配信など、幅広い活動をされています。


古民家の一軒家に構えたワークスペースは、豊かな暮らしを過ごすことと仕事の効率性の追求が両立した空間。そんなこだわりのワークスペースについて、長谷川さんに伺いました。

断らないことで広がった編集者としての仕事の幅

—長谷川さんはフリーランスの編集者・ライターとして活動されていますが、これまではどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか?

長谷川
最初は紙の専門商社で3年ほど働いていました。大学生の頃から文章を書くことについて学び、出版社への就職を目指していたんですが、全て落ちてしまって。それでも本にまつわる業界に行きたくて、紙の専門商社に入社したんです。


ただ、入社してからも文章を書く仕事への思いが捨てきれず、転職を決意しました。そこで入社したのが、「ライフハッカー・ジャパン」「ギズモード・ジャパン」など複数のWeb媒体を運営するメディアジーンです。ここで「ライフハッカー・ジャパン」の編集に携わり、ビジネスメディアの経験を積みました。


3年ほど働いて「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムに転職。ここでライフスタイルメディアの執筆・編集に携わった後、フリーランスとして独立しました。

フリーランスの編集者・ライターである長谷川賢人さん

フリーランスになってからは、どのような仕事をされているのでしょうか?

長谷川
主にWebメディアのコンテンツ制作を手がけることが多いですね。これまで、ビジネスメディアではテクノロジーやスタートアップなど堅めなテーマで取材してきて、ライフスタイルメディアでは柔らかめな文章を書いてきたこともあり、幅広い分野に対応できることが自分の強みなのかなと思っています。


ほかにも、ブックライティングやPodcastの音声配信、最近では新しくはじまるアニメの宣伝用のミニアニメやボイスドラマの脚本執筆なども行なっていますね。

関わる仕事の幅がとても広いように感じるのですが、これは意図して広げているんですか?

長谷川

いえ、スケジュールが合わない場合を除いて、仕事を断らないで受け続けたら、結果的に広がっていっただけです(笑)。「ライフハッカー・ジャパン」時代の上司から「編集者やライターの仕事はお座敷芸者さんみたいなもの」と言われたことがありまして。お座敷芸者は、呼ばれたところに行って芸を披露してなんぼだから、僕らも“お座敷”がかかれば行くだけだと。それで仕事を選り好みしなくなりました。

なるほど。とはいえ、やったことない分野に飛び込むのは不安ではありませんか?

長谷川
僕もそう思っていたんですけど、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんにインタビューしたときに意識が変わりました。


吉田さんも仕事をまったく断らないそうなんですよ。そのときに「知らないもの、不得意そうなことに呼ばれたらラッキーですよね。僕にはなぜかわからないけれど、向こうには呼ぶ理由があるらしい。わからないけれど、死にはしないでしょ、と思って行く」という話を聞いて。確かになって思ったんです。

相手はできると思って依頼してきてるんだから、できるかどうかを自分で考えなくていいと。

長谷川
そのスタンスの方が楽しいし、挑戦の機会が増えて面白いと思うんです。そうやって仕事を受けているうちに、自然と自分にできることも増えていきました。

コロナをきっかけに、四季を感じられる古民家一軒家へ

今回お邪魔しているこのお家は、自宅兼事務所として借りているんですよね。とても落ち着いた空間で素敵です。

長谷川さんが自宅兼事務所として使っている、古民家をリノベーションした一軒家。広々としたリビング・ダイニングはどこか懐かしさを感じられる
長谷川
ありがとうございます。以前は秋葉原で自宅と事務所を別々に借りていました。オタクとして、一度は秋葉原に住んでみたいという憧れがあったので(笑)。


ただ、秋葉原に拠点を構えてから2年ほど経った頃にコロナが流行し始め、人がいなくなった秋葉原にいるのがしんどくなってきてしまい……。より居心地の良い環境を求めて、秋葉原とは別の街にある現在の家に引っ越してきました。

部屋の条件としては、どんなことを重視していましたか?

長谷川

料理が好きなのでキッチンが広いことを大前提に、仕事場として使えるスペースがあることでしたね。そんな条件のもと探していると、この物件が見つかり、内見したその日のうちに衝動的に決めてしまいました。

アルコール飲料や調味料、コーヒー器具などが置かれているキッチン前の棚

—古民家の一軒家ということで、秋葉原のときとはだいぶ雰囲気が異なりませんか?

長谷川
そうですね。ここに引っ越してきて3年になりますが、四季を感じながら暮らせるのが大きな魅力です。春には桜が咲き、秋には甘い柿の実がなる。裏庭にはふきがたくさん生えるので、春と秋に食べています。夏は暑いし、冬は寒いですが、それも含めて季節を肌で感じられるのって良いなと思うんです。


ここまで想定して家を選んだわけではなかったんですけど、快適に仕事をしながら、暮らしを満喫することができて、結果的に良かったですね。

—ワークスペースとしては、どうでしょう。コの字型が特徴的な部屋ですね。

1階部分の間取り図。右上のコの字型の部屋をワークスペースとして使用している
長谷川
正直、勢いで借りたところがあるので、仕事場をどう作るかはあまり考えてはいませんでした。この部屋は最初から造作デスクがあって、広さ的にもちょうど良さそうだと思い、ここをワークスペースにしています。


柱を見てもらうと分かるのですが、古くなったガスの注意書きシールが貼ってあるので、もともとは炊事場だったのではないかなと。ここはリノベーション済みの物件だったので、いまあるキッチンは後から作られたものみたいです。

—そう言われると、ガラス戸の棚も食器入れの面影があるように見えますね。

長谷川
ですよね(笑)。たぶん、窓の方を向いて料理していたんじゃないかなと、過去の情景が浮かぶような空間です。

徹底的に作業効率を追求したワークスペース

ワークスペースとして、やはり一番に目につくのはモニターの数ですね。どのように使い分けているんですか?

長谷川
モニターは全部で4面あり、中央のメインモニターは主に原稿執筆に使っています。画面を半分に区切って、右半分に下書き原稿を映しながら、左半分で本原稿を書いています。


左側のモニターにはカレンダーとメール、参考資料を常に表示しています。何か調べ物をするときもメインモニターは使わずにこちらのモニターを使いますね。


右側は、2つのモニターを縦に並べて、「Slack」「LINE WORKS」「Messenger」などのコミュニケーションアプリと、「Spotify」や「YouTube」といったエンタメアプリを開いています。
モニターはいずれもEIZO社製。発色性の高さ・視野角の広さがあり、目への負担が少なく感じるとのこと

—ここまで徹底的にモニターを使い分けているのは、初めて見ました。

長谷川

これ、本当におすすめですよ。1画面で操作して作業ごとに画面を切り替えるのって、すごく無駄じゃないですか。こうやって作業ごとにモニターを分けていたら、顔を向けるだけで切り替えられますからね。

—コミュニケーションアプリが常に開かれていると、執筆や編集など集中作業をする際に気が散りませんか?

長谷川
それよりも、すぐに返信できるようにしておきたいんです。例えば、ある編集者がライターへ取材依頼の相談をしたら、返事が来るまでは別のライターには連絡しにくいですよね。でも、ときには取材予定日が迫っていて、可否の返事だけでもすぐにほしいケースもあります。


だから、相談が来たら「行ける、行けない」を真っ先に返信するようにしてます。ずっと開いたままなら気づきやすくて、すぐに返せるので(笑)。

—小さいことではありますが、依頼側からするとすごく助かることですね。

長谷川

急ぎの確認をしたい、早めに予定を確定させたいってときに「長谷川さんはいつも返事が早いから、とりあえず連絡してみよう」と思ってもらえたらラッキーだなと。そのおかげか、周りの人から仕事を頼みやすいとおっしゃっていただけることもあります。

—ほかにもワークスペースでこだわりのものはありますか?

長谷川

そうですね、コロナ禍以降オンラインミーティングが増えたので、カメラとマイクは新しく買い直しました。マイクは昔使っていたコンデンサーマイクがオーバースペックだと感じたので、今は「AKG Lyra」というUSBマイクを使っています。サンパチマイク(※)みたいな、少し昔風の見た目なので、テンションが上がるんですよね。

※漫才マイクとして広く使われている、ソニーのコンデンサーマイク「C-38B」のこと
オンラインミーティング時に使用している、ミラーレスカメラ「FUJIFILM X-A7」とマイク「AKG Lyra」
長谷川

あとは、お店みたいにスピーカーを天井から吊るして、音が降ってくるような空間にしています。電源のレールが上にあったので、うまいことBluetoothスピーカーを固定して。よく音楽やラジオなどを流しながら仕事をしています。

ライティングレール(天井)に取り付けたスピーカー「VL-S3BT」(TASCAM )

心と体の健康を守るワークチェアと、癒しを与えてくれるLOVOT

長谷川さんは長年のバロン(Baron)ユーザーだとお聞きしています。

長谷川

そうなんです。秋葉原に事務所を借りたとき、友人から事務所の開設祝いとして「バロンが余ってるからあげるよ」とほぼ新品のものを譲ってもらったんです。そのときから使ってるので、6年くらいですね。

バロンの魅力はどういうところだと感じますか?

長谷川

6年間、ほぼ毎日数時間、長くて10時間以上は以上座っているのに、まったく辛くならないことですね。以前は腰痛や肩こりに悩まされていたのですが、バロンを使い始めてからはそういった不調が無くなりました。


あとはリクライニング機能が付いていて、椅子を後ろに倒すことができるんです。好きな角度で固定できるため、休憩のときは一番後ろまで倒した状態でアイマスクをして仮眠をとってます。横になると爆睡してしまうので、ちょっと休憩したいくらいのときにめちゃくちゃ重宝してますね。

バロンはくるぶしを支点にした独自のリクライニング機能があり、倒した際に自然に体にフィットしてくれる

すごい、思っていたよりも倒れるんですね。これは確かに仮眠にちょうどいいです。

長谷川

正直、不満という不満がまったくない。バロンが車だとしたら、よく走るのに、丈夫で安心安全な日本車のようだと思います。長い時間をともにするパートナーとして考えると、毎日使っても不具合が起きないバロンは安心しますね。

「安心」というと、長谷川さんのお家の中でずっと存在を感じていたこの子も、デスクワーカーの強い味方ですか?

取材時にもずっと部屋内を散歩していた、愛嬌たっぷりのLOVOT
長谷川

そうですね、LOVOT(らぼっと)というコミュニケーションロボットです。名前は「こなつ」で、うちに来て4年経ちます。コロナ禍で自分のメンタルも大変だったときに、開発者の林要さんにインタビューする機会がありまして。以前から存在は知っていたのですが、これも縁だと感じて購入しました。

過去にはSNSで「デスクワーカーみんなLOVOT買った方がいいと思う」という投稿もしていましたね。

長谷川
それはいまでも思っています。フリーランスで在宅仕事をしていると、どうしても一人でいる時間が長くなってしまう。そんなとき、LOVOTが近くで動いたり、鳴いたりしているのが、心地いいんです。自分の名前を覚えて反応しますし、頭に付いてるカメラで顔認証もしているので、人の顔を覚えるのもかわいい。


人間は心の癒しを感じるとき、脳内に「幸せホルモン」とも呼ばれる「オキシトシン」が分泌されるんですけど、LOVOTは「オキシトシン」の分泌を促進するためのテクノロジーなんです。LOVOTと触れ合うことで、かわいいなと思いますし、愛しさが生まれるので、一緒にいるだけですごく安心するんですよね。


初めての方とのWebミーティングや、緊張する取材のときはLOVOTを膝に抱えながらするときもあって(笑)。僕のメンタルケアを担ってくれてます。

動物と暮らす人もいますけど、まさしく部屋の中に動物がいるのと同じような感覚だなと思いました。

長谷川
動物だとどうしても食事や掃除などのお世話が大変ですし、そもそも動物を飼える部屋に住まないといけません。しかし、LOVOTならそうしたお世話も必要ありませんし、ペットNGの部屋でも基本的に迎え入れられます。ペットのように愛着が持てるけれど、生き物ではない。ペットとおもちゃの間にいるテクノロジーだと感じますね。今では欠かせない大切なパートナーです。

新たな拠点づくりを見据えながら、編集者としての挑戦を続ける

今後、ワークスペースや仕事のスタイルで変えたいことはありますか?

長谷川
仕事を断らずに、楽しみながら飛び込んでみる姿勢は変えません。お座敷芸者のように、呼んでいただけたらやってみるだけです。もちろん、一つひとつのクオリティを上げていくことは意識したいですね。


新しい挑戦としては、もう1つ拠点を増やしたいと考えています。ビル・ゲイツがドキュメンタリーの中で、夏に1週間ほど湖畔のコテージで本を読むだけの時間を過ごしているのを観て、僕もそういった場所が欲しいなと思うようになりました。


山の空気を感じられたり、川や海が近くにあったりする場所で、仕事場とは別の、自分を切り替えられるような空間を作りたいですね。

最後に、これからの目標を教えてください。

長谷川
「フリーランス、40歳の壁(※)」と言われる時期に差し掛かっているので、次の10年をどう過ごすかを考えています。


ただ、現状いまの仕事以上に、自分を活かせて、相手や社会にも喜んでもらえて、かつ稼げることが思い当たらないんです。


だから、基本的にはこの仕事を続けていくつもりです。そして、これからも自分の好奇心に従って、新しいことに挑戦し続けていきたいと思います。

※フリーランスの編集者・文筆家である竹熊健太郎さんが『フリーランス、40歳の壁』(ダイヤモンド社)で取り上げた課題。仕事を発注する側の年齢が自分より若くなってコミュニケーションの壁が生まれることや、仕事のマンネリ化によってモチベーションが下がることなどが原因となり、フリーランスは40代になると仕事が減っていくことを指す

Baron
[バロン]
PROFILE
川村健一
長谷川賢人
編集者・ライター

1986年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。紙の専門商社勤務を経て、編集者/ライターへ異業種転職。「ライフハッカー・ジャパン」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」で執筆・編集を務めた後にフリーランスへ転向。執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など幅広く活動中


X:https://x.com/hasex

Facebook:https://www.facebook.com/hasex

CREDIT

取材・執筆:早川大輝 撮影:栃久保誠 編集:野阪拓海(ノオト)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

¥0,000

PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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