ジャーナリングの専門家・松岡美希さんに聞く! 「心のもやもや」を解消する、ノートを使った思考整理術
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ジャーナリングの専門家・松岡美希さんに聞く! 「心のもやもや」を解消する、ノートを使った思考整理術

#アイデア・工夫 #仕事・働き方 #在宅ワーク

仕事や生活をこなす毎日の中で、どうしても生まれてしまう「心のもやもや」。特にリモートワーカーは同僚や上司との雑談の機会が少ないために悩みを他者に共有できず、もやもやを抱え込みがちです。


そこで今回注目するのが、自分の気持ちを紙に書き出す「ジャーナリング」のテクニック。うまく活用すれば、気持ちを整理し、すっきりとした気持ちになれるといいます。


今回は、ジャーナリングの専門家・マツオカミキさんに、日々のもやもやを解消し、心を整えるためのノートの活用法について解説していただきました。

ノートは最高の「壁打ち相手」

コロナ禍を機に広がったリモートワークは、いまや多くの企業で定着しつつあります。出社せずとも働ける環境は何かと便利な一方で、同僚との何気ない会話や雑談の機会が減り、ちょっとした悩みや不安などを相談できなくなったという方も多いのではないでしょうか。


一人で抱え込んでしまった「もやもや」を解決する手段として、今回、私が紹介するのは「ジャーナリング」です。ジャーナリングとは、頭に浮かんだ自分の思いを紙に書き出すこと。


悩んでいるとき頭の中で考えをぐるぐる巡らせていると、本当に考えたいことが埋もれてしまったり、本質ではないことに気をとられてしまったりすることがありますよね。このようなときにジャーナリングをおこない、自分の中のもやもやを文字にして取り出すことで、客観的に見られるようになります。


書いたものと物理的に向き合ってみたら「実は結構ちっちゃいことで悩んでいたな」って気づくこともよくあります。もやもやを書いた自分とそれを客観的に見ている自分とで対話していくことで、自分の認知をフラットに捉え、悩みの本質を見つけていくことができるんです。


ノートの良さは否定も肯定もしない存在であること。人に相談すると、どうしても相手の気持ちを考えて話す内容を選んでしまいますよね。アドバイスや意見をもらって、かえってもやもやするということもあるかもしれません。その点、ノートはただただ黙って耳を傾けてくれる最高の壁打ち相手です。


特に、人に話を聞いてもらうことに抵抗がある方や「きちんと整理してから話さなきゃ!」と思う方は、ノートという自分だけの空間に思いをアウトプットするだけですっきりすると思います。

気持ちをアウトプットするだけなら、パソコンやスマートフォンでいいのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし「ノートに手書きで書き出す」ことにはメリットがあるんです。


キーボードで文字を打ち込もうとすると、どうしてもその前に「文章を考える」工程が生まれてしまいますよね。一方、手書きなら頭の中の思いや感情が、そのまま腕を伝って紙に流れ出ていくように、ダイレクトに気持ちを吐き出せます。また、パソコンやスマートフォンと違って、途中で通知が入って気が散ることもありません。ノートを開いて文字を書くことだけに集中し、安心して自分の声に耳を傾ける時間を作ることができます。

自分の気持ちを「生」のまま書いてみよう

いざジャーナリングを始めようと思っても、まっさらな1ページにまず何を書くか悩んでしまう方も多いでしょう。そんなときはまず日付と、タイトルを書いてみてください。日付は何も考えず今日の日付を書くだけだから特に書きやすいはずですよね。


タイトルは「何のために書くのか」方向性を決めるためのもので、凝ったものでなくてOK。私の場合、もやもやを解消したいときにはいつも「思考整理」としています。真っ白なノートに文字を書き入れるのってちょっとプレッシャーがあると思うのですが、日付とタイトルだけでも書き込めば、思いを書き出すハードルがぐっと下がるはずです。


日付とタイトルに続ける形で、頭の中にあることを箇条書きで思うままに書き出してみましょう。今の気分のこと、仕事のこと、人間関係のことなど……物事の順序や書く内容のジャンルなどは整理せずに、ただただ気になることや考えていることを書き出していきます。


書いていくうちに、何度も同じような内容が出てきたり、特に気持ちが重くなる部分が見えてきたりします。そういった箇所が、あなたにとっての大切なポイントです。線を引くなど何かしらの印をつけておきましょう。あなたが大切にしたいことや課題、自分の思考のクセに気づくことができます。

途中で書くことに行き詰まる、堂々巡りになっている気がする……そんなふうに思ってしまうのは、自分の中で考えうる可能性を掘りつくした状態のサイン。それ以上自分の中の引き出しを開けても空っぽなので、本を読んだり映画を見たり、考える以外のことをやって、もうちょっと引き出しが増えてからもう1回取り組んでみる方がいいと思います。中断して一息ついて新しい視点を得てから、また書き始めれば大丈夫ですよ。

ノートから見えてくる「自分の処方箋」

もやもやをジャーナリングで解決しようと考えるとき、つい「この気持ちを前向きに変えること」をゴールにしてしまいがちです。でも、私は無理にポジティブな方向に持っていく必要はないと考えています。悲しい気持ちは悲しいまま、怒りの感情は怒りのまま、素直に受け止めることが大切です。ノートは否定も肯定もしない存在ですから、自分の感情をありのままに受け止める場所として使ってみてください。


気持ちを書き出せたら、ぜひ最後に「次にやること」を書いてみて。そしてその「次にやること」は、もやもやの本質的な解決につながらなくていいんです。「気分を上げるために美味しいものを食べに行く」「○○について調べてみる」「信頼できる人に相談してみる」など、たとえ小さな前進でも、そのときの自分に必要な「動き出し」を決めておくと、今感じているもやもやから1歩踏み出すことができます。


そして「次にやること」はぜひスケジュール帳に改めて書き込み、実際の予定に組み込んでみてください。ノートに書いてあるだけだと忘れてしまうので、予定に入れて行動に移すことが、もやもやとした現状から踏み出すためにも重要です。


ジャーナリングを続けていくと、次第に「次にやること」の傾向が見えてきます。「落ち込んだときは、美味しいものを食べる」「行き詰まったら、ベランダで深呼吸」など、自分なりのもやもやへの対処法が蓄積され、より効果的な「次にやること」にたどりつくことができるようになるのです。また、「この状況で自分はこう感じやすい」「あの場面ではこんな反応をしがち」といった自分の感情の傾向もわかるようになります。

これらはいわば「自分の処方箋」です。知ることで、今の自分に必要な対処ができるようになって、だんだんと自分との付き合い方がわかるようになります。このように上がったり下がったりする自分の気持ちをうまく乗りこなせるようになることは、ジャーナリングの大きなメリットのひとつです。

自分だけの「快適な環境」をつくりだそう

気分が沈んでいるときは「気持ちを書き出すのは腰が重い……」と面倒になってしまうこともあるかもしれませんね。だからこそ、「ノートを書くことは、自分をいたわるご褒美だ」と思えるようなツール選びと書く環境作りを意識してみましょう。


まずは書き心地を考えて、ノートや筆記具を選ぶことから。最初の1冊におすすめなのは、ページの少ない薄めのノートです。分厚いノートだと「書ききらなければ」というプレッシャーを感じて、途中で開くのが億劫になってしまうかも。薄いノートを使って、1冊書ききる達成感を味わうと、続けやすくなりますよ。また、ノートは自分が気に入ったものを選ぶのが一番です。ついつい開きたくなるようなお気に入りの一冊を選んでください。


ノートの中身は無地、罫線、方眼などさまざまなタイプがあります。私は図や矢印などを書き込むことが多いため、方眼や無地のノートを使うことが多いですね。特に方眼は文字の大きさも変えやすいですし、キーワードを囲んだり、考えを整理する枠を作ったりするのも簡単です。


ノートは自分の気持ちを書き出すためのもので人に見せるものではないため、キレイに書く必要はありません。文字が汚くても、漢字を間違えても、ひらがなばかりでも大丈夫。消しゴムを使わないで、ペンで上からぐちゃぐちゃと消してしまってOKです。


私は3色ボールペン1本で済ませています。赤や青を使って気になるところに印をつけたり、囲ったりすることはありますが、あくまで自分が見てわかれば十分です。黒一色でもよいので、すらすら書けることが第一です。感情のままに「書きなぐる」くらいの方が、気持ちがすっきりするものです。

マツオカさんのノート(画像提供:マツオカミキさん)

ノートを書くときに誰かに邪魔されたり、声をかけられたりする可能性があるとどうしても本音が書きづらくなってしまいますから、ジャーナリングに集中できる場所にこだわってみるのも良いですね。お気に入りのカフェや、非日常的なホテルのラウンジなど、自分なりの「書く場所」を見つけることで、仕事や日常生活から抜け出し、ノートを書くことだけに没入できます。私の場合は、素敵な喫茶店でおいしい飲み物を飲みながらジャーナリングしています。ノートを書くのが楽しみになりますよ。

「書かなきゃ」から「書きたい」へ

ジャーナリングが続かないと感じる方の多くは、「毎日書かなきゃ」「きちんと書かなきゃ」と、必要以上にハードルを上げてしまっているのだと思います。でも、これは決して誰かに見せるためのノートではありません。あくまで、自分の気持ちを素直に受け止め、客観的に考えるための道具なのです。


私のジャーナリングのペースは、月に2〜3回。もやもやした気持ちが溜まったときにノートに向かうようにしたところ、だいたいこのくらいのペースに落ち着きました。必ず毎日やる必要があるわけではないので、自分がノートを書きたくなったら書く、で大丈夫です。


お気に入りのノートで、心地よい場所で、自分のペースで書く。そうやってノートを開くことが楽しみになれば、自然と習慣になっていきます。そして、その中から見えてきた「次にやること」を実際の行動に移していけたなら、あなただけのための「処方箋」が着々とできあがっていきます。


もやもやしたときには自分へのご褒美のようにそっとノートを開いてみる。ぜひ、何でも気軽に話せる相談相手としてノートを使ってみてくださいね。

PROFILE
高畑正幸

松岡美希

「じぶんジカン」代表

1989年生まれ。ノートブランド「じぶんジカン」代表。文具メーカー勤務、ライター・編集者を経て、現在は自分と向き合うためのツールとしてのノートや文具を手掛ける。自身も実践してきた日々の不安やもやもやを解消するためのノート術についても発信している。


じぶんジカンHP:https://jibunjikan.jp/

CREDIT

ライター:いわさきはるか アイキャッチ・図版:サンノ 編集:モリヤワオン(ノオト)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

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PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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