親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
「なんだか目が疲れた……」そんな風に感じることはありませんか? 仕事でパソコンとにらめっこ、帰宅したらスマホでゲームやSNS。目を休ませる暇もないほど、デジタルデバイスを見つめる日々を過ごしている人は少なくないでしょう。そんな生活を送っていたら、目が疲れてしまうのも無理はありません。
目の疲れを放置すると、肩や首のこり、頭痛、吐き気など、全身の不調につながることも。酷使してしまいがちな目を労わるには、どのような対策を心がければ良いのでしょうか。
YouTubeチャンネル登録者数26万人を超える人気眼科医・平松類先生に、「目の疲れ」の解消方法について、分かりやすく解説していただきました。
放っておくと危険信号!? 疲れ目と眼精疲労の違い
みなさんは「目の疲れ」が具体的にどのような状態かご存じでしょうか?
目の疲れには大きく分けて二つの状態があります。単に目が疲れている「疲れ目」の状態と、「眼精疲労」と呼ばれるより深刻な状態です。
◆疲れ目
単純な目の疲れは、例えば読書やパソコン作業の後に目が重く感じるような状態です。例えば「なんだか目がだるいな、重いな」という感覚。これは目の筋肉の疲労が主な原因で、目を休ませたり、睡眠をとったりすると症状が改善します。
◆眼精疲労
目の疲れが蓄積して「眼精疲労」の状態になると、目だけでなく、頭痛や肩こり、さらにはイライラ感や自律神経の乱れなど、全身にさまざまな症状が現れます。この状態に陥ると、少しの休息では回復が難しく、時には専門的な治療が必要になります。
デジタル社会の落とし穴! 現代人の目の疲れの原因
深刻な眼精疲労になってしまう前に、一時的な疲れ目をしっかりケアしてあげることが大切です。疲れ目を引き起こす原因の一つとして、デジタルデバイスの使用が挙げられます。特にスマートフォンの使用は、目の筋肉に大きな負担をかけます。
一般的に、デジタルデバイスを1日に4時間以上使用すると、目が疲れると言われています。目の疲れを引き起こす大きな要因は、「目とデバイスの距離と使用時間」にあるのです。
近くのものを見るとき、瞳の奥にある「水晶体(すいしょうたい)」がピントを合わせるために、目の周りの筋肉を使います。近くを見れば見るほど、その筋肉がエネルギーを多く消費することになります。
具体的に数字で表すと、目から1mの距離ではエネルギー消費がレベル1、50 cmではレベル2、33 cmでレベル3、20 cmではレベル4と、距離が近くなるほどエネルギーの消費量が増えていきます。
そもそも、人間の目は遠くを見ることに適しており、近くを見ることに最適化されていません。長らく狩猟採集をしてきた歴史があるためです。そのため、近くを見続けることで目の筋肉が緊張し続けてしまいます。運動で筋肉を使い続けると疲労を感じるのと同じ原理で、目も疲れてしまうのです。
次に、デジタルデバイスの使用時間についてお話しします。
デジタルデバイスは画面が光を発しています。デジタルデバイスの画面は光の粒が高速で点滅しており、人間の目は無意識にそれに集中しようとします。その結果、まばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなるのです。この乾燥が目の疲れを引き起こしやすくする一因となっています。
このように、デジタルデバイスと目との距離が近ければ近いほど、また、使用時間が長ければ長いほど、目の疲れが増すことになります。
目の疲れを効果的に予防&改善する8選
ここまで、目の疲れの原因についてご説明してきましたが、もはやデジタルデバイスを一切使わない生活は現実的ではないでしょう。そこで、目の疲れを予防&解消する方法を8つご紹介します。
① 20-20-20ルールで目の筋肉をリフレッシュ
目の疲れを防ぐためには、定期的に休憩を取ることが重要です。20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)以上離れた場所を見るという「20-20-20ルール」を実践することが効果的です。この簡単なルールを守ることで、目の筋肉をリラックスさせ、過度な緊張を防ぐことができます。
先ほどご説明したように、人間の目は近くよりも遠くを見ることに最適化されています。そこで、理想的な使い方である遠くを見る時間をつくることで、目の筋肉をリラックスさせることができます。
② 目の乾燥を防ぐ! 意識的なまばたきでドライアイ対策
デジタルデバイスを使っているときは、まばたきの回数が減りがちです。意識的にまばたきをすることを心がけ、涙の分泌を促し、目の表面を潤しましょう。
③ パソコン作業は環境調整が鍵! モニターの位置にも気を配ろう
パソコンのモニターの位置を調整することで、目の負担を軽減できます。目は見上げた状態だと大きく開き、空気に触れる面積が増えて乾燥してしまいます。そこで、モニターは目線よりやや下に配置することが望ましいです。
また、目とモニターの距離は近づけ過ぎず、40~50cm程度を目安にするのがおすすめです。小さなモニターに顔を近づけて作業するより、大きなモニターを使って、目との距離を取るといいでしょう。
④ 目に優しい快適空間を! 照明環境を整えよう
適切な照明環境を整えることも、目の健康を守るためには不可欠です。明るすぎる環境や暗すぎる環境は、目に大きな負担をかけます。
部屋全体の照明は少し暗めにし、デスクワークをする際は、手元を明るく照らすデスクライトを使用するのがおすすめです。間接照明を活用するなど、目に優しい明るさの照明環境を整えましょう。
⑤ 質の高い睡眠で目の疲労回復
目の疲れを予防するためには、生活習慣の見直しも重要です。例えば、十分な睡眠を取ることは、目の健康にとって非常に大切。睡眠中に目の細胞が修復されるため、適切な睡眠時間を確保することで、目の疲れを軽減することができます。
一般的に、6〜9時間程度の睡眠が推奨されています。これにより、目だけでなく全身の疲労も回復しやすくなります。
⑥ 目の疲れに癒し効果も! 温かいアイマスクのススメ
温かいアイマスクは、目の周りの血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果があります。就寝前に使用すると、リラックス効果も期待できます。目の疲れを感じたときには温かいアイマスクを使用して目を温めるのも効果的です。
⑦ 老眼鏡を使うことで疲労を予防
老眼鏡は、年齢を重ね、近くが見えづらくなってから使うイメージがあるかもしれませんが、実は若いうちから目のサポートアイテムとして取り入れてもOK。
老眼鏡を早めに使用することで、近くのものを見る際の目の調整力をサポートし、過度な疲労を防ぐことができます。これにより、目の筋肉をリラックスさせることができ、長時間の作業やデジタルデバイスの使用による疲れを効果的に防止することが可能です。
私も目の疲れを予防するために使っていますが、最近は若いころから老眼鏡を使って目のダメージを減らすケースも増えています。
⑧ 目の疲れには「ルテイン」が効く
目に関するサプリメントがたくさん販売されていますが、目の疲れを解消するのに良いと言われている栄養素はルテインです。ケール、ゴーヤ、ホウレン草などに含まれています。これを積極的に摂取すると、目の疲れを和らげてくれると言われています。
目の疲れを放置しない! 毎日の小さなケアが大きな違いに
最後に目薬について、少し触れておきましょう。目の疲れを感じたときに目薬を使用する方も多いですよね。
必要以上の使用を避けたいのは、充血をとるための目薬。充血は目が何らかのダメージを受けたサインであり、それを無理に抑えることは、根本的な解決にはなりません。また、抗菌剤入りの目薬も、長期間の使用によって、目に抗菌剤よりも強い菌が生まれてしまう可能性があるので注意しましょう。
目薬を選ぶ際には、防腐剤が含まれていないものを選ぶことが望ましいです。また、防腐剤が含まれているものでも、目薬は1〜2ヶ月で菌が繁殖するおそれがあります。液が残っていても、思い切って買い替えるようにしましょう。
基本的に目の疲れをとるには、先ほど紹介した8つの方法が有効だと考えてください。目は私たちの生活において非常に重要な役割を果たしており、目の健康を保つことは全体的な健康にも繋がります。目の疲れを軽視せず、毎日の小さなケアを心がけることがポイント。ぜひ、今回ご紹介した方法を生活に取り入れて、目の健康を維持していただければと思います。
平松類
眼科医
医学博士。愛知県田原市生まれ。筑波大学附属駒場高校・昭和大学医学部卒業。彩の国東大宮メディカルセンター眼科部長等を経て現在二本松眼科病院(東京都江戸川区)にて治療を行う。テレビ・ラジオ・新聞などメディア出演、著書多数。
ライター:末吉陽子 アイキャッチ・図版:pum 編集:モリヤワオン(ノオト)
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