親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、人々のライフスタイル・ワークスタイルは大きく変わっていきました。渦中では通勤をせず自宅で会社の業務を行うテレワークが浸透し、アフターコロナと言われるようになってからも、オフィスと自宅の勤務をバランスよく行うハイブリッドワークに注目が集まっています。
さまざまな仕事がパソコンひとつでできる環境になり、それまで使っていた文具やアナログツールを手放したという人も多いかもしれません。でも、最近はハイブリッドワークに役立つアイテムも生まれているんです。
そんなアイテムにはどのようなものがあるか、どのように使うと仕事がさらにはかどるのか。テレビ番組の文房具通選手権で3連続優勝を成し遂げた経歴もある文具王・高畑正幸さんに教えてもらいました。
デジタル化の波で変わってきた文具
現代はハイブリッドワークやDX化など、さまざまな働き方の変革が起きています。そんな中で文具が今どんな立ち位置にあるか、おすすめのアイテムをご紹介する前に振り返ってみましょうか。
文具に大きな変革があったのは平成の時代です。およそ5500年あるといわれる文字の歴史の中で、平成にインターネットや携帯電話・ノートパソコンといったデジタル機器が実用化されました。昭和の社会人は仕事の大部分をアナログで行っていましたが、平成の30年で多くのものがデジタルに移行したのです。そこへコロナ禍がやってきて、パソコンをフル活用してどこでも働けるテレワークの時代が本格的に到来しました。
こうした状況が重なった現代は、業務の効率化において、アナログの文具が必ずしも必要ではない時代なんですよね。例えば、かつて手帳やカレンダーで行っていたスケジュール管理は、Googleカレンダーなどであらゆるデバイスから確認できるようにしたほうが効率が良くなります。
そんな中、時代に合わせて進化した文具があるのをご存知ですか? また、デジタル主流のこの時代にあえて「アナログのほうが便利じゃない?」と紹介したいものもあるんです。
パソコン作業に寄り添うノート
とっさのメモは手元でペンと紙に、という方はまだいらっしゃるのではないでしょうか。紙なんて時々しか使わないからと、手近にあった適当な裏紙や付箋に書いて、見失ってしまった〜!なんてことがないように、やっぱりメモはノートにまとめておくのが一番です。
ノートはリモートワーク時代になって、横長の製品が増えています。なぜだと思いますか?
仕事にはパソコンが欠かせなくなっていますよね。特にリモートワークでは、勤怠管理の観点からもパソコンにログインすることが求められるケースもあり、常に机の上にパソコンがあります。そんなデスクをじっと見てみてください。キーボードと机の間に、横長の余白がありますね。
この余白にぴったりフィットするのが、横長のノートなんです。また、机の上には常にパソコンがあるので、ノートは幅を取らないほうがいいですよね。そこで、横長かつコンパクトなノートのニーズが高まってきました。
おすすめはダイゴーの「isshoni. ノート デスク」。13インチまたは15インチのパソコンの前にぴったり置けるコンパクトな大きさで、ハイブリッドワーク時の持ち運びにも便利です。
ダイゴーの「isshoni. ノート デスク」(画像提供:ダイゴー)
ノート&手帳ブランド・マークスのEDiTシリーズからA5サイズ・B5サイズで展開されている「アイデア用ノート」もオススメの製品。付箋つきでアイデアの発散に活用できます。横長のノートはパソコンの画面と似たカタチなので、パソコンの画面に映したり、スライド資料のアイデアを練ったりするのにも最適です。
マークスのEDiTシリーズ「アイデア用ノート」(画像提供:マークス)
また、デジタル主流とはいえ紙に印刷して保管しておきたい資料もあると思います。これはちょっとしたTipsですが、A4の用紙に資料を「冊子(製本印刷、ブックレット)」の設定で印刷するのがおすすめです。
僕は出力したものを半分に折ってA5サイズにし、書籍のようにホチキスで閉じておくようにしています。紙って意外と場所をとりますから、できるだけコンパクトに保管しておくのがコツです。オフィスのプリンタには自動でホチキス留めしてくれるものもありますが、家庭用のプリンタなどで印刷紙をとじる際には、マックスの「ホッチくる」など、針の向きを90度回転できるホチキスが便利です。
マックスの「ホッチくる」(画像提供:マックス)
自分を律するアナログタイマー
在宅ワークでは、仕事と休憩の切り替えが難しいですよね。そこで、上手に休憩をとったり効率よく仕事をしたりするために進化した、アナログのデスクアイテムがあります。
計測時間や残り時間を表示できるタイマーはこれまでもありましたが、最近はポモドーロテクニックに対応したタイマーが多くなっているんです。ポモドーロテクニックとは、25分の仕事時間と5分の休憩時間をワンセットにすることで、集中力と生産性を高めるための管理技術。これをセットできるようになったのがポモドーロタイマーです。
スマホアプリにもポモドーロタイマーがありますが、仕事中にスマホに触れると、そのままズルズルほかのことをしてしまう……なんて人におすすめです。
ドリテックの「スタディエッグ」は、卵型のコンパクトなデザインが特徴的。学生の学習管理用に生まれたタイマーですが、社会人でも十分活用できます。集中時間と休憩時間でアニメーションが切り替わり、見た目にもわかりやすいのもポイントです。
ドリテックの「スタディエッグ」(画像提供:ドリテック)
家に仕事空間を生み出すデスクマット
在宅ワーク時には、仕事に集中できる環境を作りたいと考える人もいるのではないでしょうか。書斎がある人はそれで良いのですが、キッチンやダイニングのテーブルなど自宅の共用の空間で働く人もいるはず。
せめてパソコン周りだけでも仕事モードの環境にしたい!という方には、デスク上の「空間を区切る」工夫がおすすめです。例えば、自分の仕事の空間に、デスクマットを置いてみては。
仕事に使う道具は、デスクマットのまわりにしか置かない。そんな仕事ルールを作ってみてはどうでしょうか。デスクマットの上だけを仕事空間として区切ることで、オン・オフの切り替えを可能にします。
ライオン事務器の「デスクマット<orino(オリノ)>」は、コンパクトに収納できる折りたたみ式のデスクマット。塩ビ製なので、汚れも拭き取りやすくマウス操作も快適です。さらに、外出先では簡易的なパーティションとしても活躍します。
ライオン事務器の「デスクマット<orino(オリノ)>」(画像提供:ライオン事務器)
空間を区切るアイテムとして、キングジムのポータブルワークベース「ノッテオン」も紹介します。普段は取っ手がついた収納ボックスとなっているのですが、これを机の上に横向きに置くと、ノートパソコンの傾斜スタンドに早変わり。パソコンのディスプレイ上部についているカメラがWeb会議をするときにちょうど目線の高さにくるのもポイントです。
キングジムの「ノッテオン」(画像提供:キングジム)
ホワイトボードは自宅にこそおすすめのアナログツール
ぜひ家にホワイトボードを置いてください。私の場合は家の襖にホワイトボードのシートを貼っています。スケジュールを考えたり、書いては消すことで思考を繰り返したり、座右の銘や目標を書いておいたり。
アナログの良いところは「電源が切れない」ことです。パソコンは、電源を切った瞬間に画面が消えます。絶対に忘れてはいけない予定や、常に頭においておきたいこと、ぱっと浮かんだアイデアなどは、すぐに書き込めるホワイトボードの方が便利ですよ。
ホワイトボードはノートタイプのものもあります。欧文印刷の「nu board」は新書サイズから、大きなA2判まであります。コンパクトなサイズは、外出先でも活用できそうですね。
欧文印刷の「nu board」(画像提供:欧文印刷)
ホワイトボードはオフィスにあるもの、というイメージがありますが、一般家庭にもあるべきものです。役にたちますよ。
アナログだからこそ、仕事を助けてくれるアイテムもある
デジタルの良さは、世の中の事象を単純化してデータにし、効率を上げられること。誰かが作ったフォーマットやルールに則って行えるものは、デジタルの相性がとても良いと思います。データは再利用もできますし、検証も楽ですしね。
でも、新しいことを考えたり、これまで形がなかったものを創出したりすることは、アナログがまだまだ有利です。ほとんどの業務をデジタルで行うネットサービス大手の社内でも会議室ではホワイトボードや付箋を使っていると聞きます。
アイデアを紙に書いて、それを自由に並べて検討できるのはアナログの良いところです。デジタルではモニター内などアイデアを並べる場所が限られるので、こうした使い勝手はアナログが優勢ですね。
また、文房具を使うことで、「このへんに書いた」「こんなふうに書いた」といった情報と一緒に記憶に残せるので心に残りやすいものです。手触りが残る良さがあります。
それぞれの強みを考えて、アナログとデジタル・道具を使い分けていきたいですね。
高畑正幸
1974年香川県丸亀市生まれ、図画工作と理科が得意な小学生をやめられず今に至る。テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」全国文房具通選手権に出場。1999年、2001年、2005年に行われた文房具通選手権に3連続で優勝し「文具王」と呼ばれる。文具メーカーサンスター文具にて13年の商品企画・マーケターを経て退職後、同社とプロ契約。文房具の情報サイト「文具のとびら」の編集長を務め、個人でもyoutuberとして文具情報を日々発信している。2007年より、きだてたく、他故壁氏と共に、文房具のトークユニット「ブング・ジャム」を結成。各種文具イベントを行う。
YouTube:https://www.youtube.com/@bunguo-
ライター:奥野大児 アイキャッチ・図版:サンノ 編集:モリヤワオン(ノオト)
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