空間と接客の両輪がかなえる、非日常と親しみやすさが共存したヘアサロン―代官山・log
人が集まる場のヒミツ

空間と接客の両輪がかなえる、非日常と親しみやすさが共存したヘアサロン―代官山・log

#アイデア・工夫 #コミュニティ

人気のあのお店や場所には、なぜ人が集まるのか? 連載企画「人が集まる、場のヒミツ」では、お店・空間づくりのポイントや、その背景にある想いやこだわり、そして


魅力的なエピソードの数々から、「愛される場所」の秘密を紐解きます。

第9回で取り上げるのは、東京・代官山の閑静な町並みに佇む人気ヘアサロン「log(ラグ)」。まるで魔法のような技術と、心地よい空間で多くの人々を魅了しています。


そんな彼らの強みは、類まれなる技術力、提案力、そして安心感を作り出すコミュニケーション力。サービス業の総合芸術のような空間を生み出すために、logはなにを考えるのか。log代表の馬橋さんと店長の斎藤さんにお話を伺うなかで、お客さんとの心地よい交流を生み出すヒントが見えてきました。

お客さんが喜ぶ姿に、やりがいを見出した

創業から16年、雑誌などでも数多く取り上げられファンが多いlogさんは、リピーターの方も多いと聞いたことがあります。

馬橋

そうですね、新しいお客様もたくさんいらっしゃいますが、おかげさまで9割のお客様が10年以上通うリピーターさんです。

—10年以上も!? それはすごい……。今日は、そんなlogさんの「何度も通いたくなる」場のヒミツに迫っていければと思っています。さっそくですが、まずはlogのはじまりについて教えていただけますか?

馬橋

logは2008年4月に誕生しました。僕は大学在学中、地元である埼玉県の美容室でアルバイトをしていたのを機に、美容の世界に興味を持ちました。大学卒業後、東京のサロンに就職、その後フリーランスで半年ほど働き、logを立ち上げました。

log代表・馬橋達佳さん

―フリーランスの頃にはどんなお仕事をされていたのでしょうか。

馬橋

フリーランス時代には、雑誌を中心としたヘアメイクの仕事と、サロンワークの両方を経験しました。


そこで気づいたのは、自分はやっぱりサロンワークが好きだということ。ヘアメイクの仕事も学びややりがいのある仕事ですが、目の前のお客様が喜んでくれる瞬間や、自分が良いものを作れたときの喜びを直に感じられるサロンワークのほうが、自分には合っていると感じたんです。

理想としたのは、パリの“アパルトマン”

そうして生まれたのがlogなのですね。では、そんなlogが目指すヘアサロンとは、どのようなものでしょうか?

馬橋

「気分も見た目も底上げしてくれる場所」だと考えています。そのうえで、もう少し理想を重ねるのなら、非日常的でありながら、どこか友人の家に来たときのようにほっとできる場所であってほしいなと。


美容室って、人によって来店頻度は違いますが、基本的には非日常の空間じゃないですか。そのなかで、良質な非日常を提供しつつ、どこか親しみやすさも感じられる──そんな相反する感覚が共存する場所でありたいと思っています。

logの店内。半地下の立地ながら、大きなガラス扉から暖かい日差しが降り注ぐあたたかみのある空間

非日常と親しみが感じられる場所として、店内空間にもこだわりや意識されている点があるのでしょうか?

馬橋

そうですね。現在の美容室の内装トレンドは、シンプルだったり、スタイリッシュな韓国カフェのような空間だったりするんですが、logではあえてグリーンや小物で雑多な部屋っぽさを意識した空間を目指しました。いうなれば、“パリのちいさなアパルトマン”みたいなイメージでしょうか。誰かの部屋のような居心地の良さと、パリの街角のような日常から少し離れた印象をもたらせるようにしています。


特に、経年変化によって価値を高め、美しい佇まいとなるアンティーク、ヴィンテージ家具の選定にはこだわりました。美容師として、お店として、老いて朽ちていくのではなく、より深みが出てほしい、長く愛されてほしい、という思いからです。

資材が収納されている、アンティークのクロゼット

馬橋

また、グリーンにも特別なこだわりがあります。もともとはアンティークの家具とグリーンのバランスが好きで置いていたのですが、店内にグッとグリーンが増えたのはコロナ禍。ストレスを抱えていらっしゃるであろうお客様やスタッフへの癒しと模様替えも兼ねていたんですが、気づいたら溢れていました。僕も癒しがほしかったのだと思います(笑)。

中には、観葉植物に癒されに来るお客さんもいるという

店内を細やかに眺めていると、随所に工夫やこだわりを感じる点があるように思います。

馬橋

そうですね。シャンプーブースもより特別感が出るよう、絨毯を敷いたりタイルを貼ったりと、空間として一線を画す意識を大切にしています。美容室において、特に「気持ちいい」を感じていただける施術がシャンプーなので、一層、心ほどける空間にしたかったんです。

差し色の役割も果たす赤を貴重とした絨毯。「シャンプーって美容室で唯一気持ち良い施術だから、他の場所とは一線を画すような雰囲気にしたくて」と馬橋さん

馬橋

また、来店されるお客様の人数の変化に合わせてフットワーク軽く施術ができるよう、セット面(カットやカラーなどの施術に必要な鏡と椅子、テーブルのセットのこと)も増やしています。ちなみに、このセット面もオーダーメイドでつくっているんですよ。


お店の広さこそ変わらないものの、スタッフ数やお客様の人数は都度変化します。だからこそ、スタッフにとっては仕事しやすい作りに、かつ、お客様にはかわいくオシャレに見えるような配慮を重ねて、現在のような空間にたどり着きました。

鏡の枠の経年劣化が味わい深いセット面

「何度も訪れたくなる」場所になるために

こういった空間づくりが、お客様との関係性にも影響しているのでしょうか?

馬橋

そうであったらいいな、とは思っています。「お客様の心にすむ(住む、棲む、沁む)」ような信頼関係を築ける一助になっているのかなと。


logでは、普段からありがたいことにお客様から差し入れをいただくことが多いのですが、それってすごいことだなと思っていて。旅先でのお土産や、身体を気遣ってお弁当を買ってきてくださる方もいらっしゃる。ふとしたときに思い出してもらえる、居場所のようなものになっているのかなと感じる瞬間です。

「美容室に行く」というよりは、「logに行く」という価値が生まれているようにも感じられます。

斎藤

まさに、その状態が理想ですよね。必要に迫られて訪れるのではなく、わくわくする気持ちで来てもらえる場所、というのかな。そのためには、空間の作り込みにプラスして、スタイリストの接客の工夫も欠かせないと思っています。

log店長・斎藤菜穂さん

ーお客様を迎える存在として意識しているのはどんなことでしょうか?

馬橋

第一に大切にしているのは、お客様を「自分にとっての大切な人」として見ること。たとえば、お客様が来店されたとき、「この方が自分にとっての大切な人だったら、自分はどうするだろう?」と考えるんです。パートナーや親友、家族だったら……そんな風に考えながら接客をしています。


これって、単に接客の仕方だけでなく、技術面でも同じなんです。常にかけがえのない人からのお願いを聞くような気持ちでお客様と接することで、提供できるサービスの幅と質が向上するのだと考えています。

斎藤

私は、お客様一人ひとりのニーズに寄り添うことを心がけています。また、お客様の悩みや要望に対して、「できない」「仕方ない」で終わらせるのではなく、どうすればその方の気持ちに寄り添えるか、どう伝えればポジティブに受け取ってもらえるのか、も常日頃から考えています。仮に叶えることが難しいご依頼だったとしても、言葉の選び方、提案の方法一つで、お客様の受け取り方は大きく変わると思うんです。

斎藤

お客様によっては、おしゃべりを楽しみにきてくださる方もいれば、静かな時間を過ごしたい方もいます。そういった多様なニーズに応えつつも、良質なサロンワークをご提供するという普遍的な価値は変わらない。そんな場所を目指しています。

ー先ほど、店内空間は「パリのアパルトマン」を意識しているというお話がありました。logの接客は、まるで「部屋に遊びに来た友達によって会話やもてなしを変えるように、お客さんのパーソナルに寄り添う」スタイルのように感じます。

変わらない意思を受け継ぎながら、唯一無二のサロンへ

ー最後に、logの未来の構想についてお聞かせください。

馬橋

logは、個性豊かなスタイリストがそろう、セレクトショップのようなヘアサロンでありたいと思っています。スタイリスト一人ひとりが自分自身の個性や特性を活かせる場所を作っていきたいですね。

logの根底にある価値観は、アシスタント達にも受け継がれていく

斎藤

私は、これからも「お客様にとっての特別な場所」であり続けたいと思っています。髪を切るだけの場所ではなく、来店することでなにかを得られる、心が浄化される、そんな場所でありたいです。


以前、とあるお客様から「logは、欠かすことのできない参拝場所です」と言っていただいたことがあるんです。その言葉がとても印象に残っていますし、まさにそういう場所でもありたいなって。お客様それぞれの「特別な場所」になれるよう、これからも努力を重ねていきたいです。

PROFILE
川村健一

馬橋達佳、斎藤菜穂

log代表、店長

【馬橋さん】log代表。大阪ベルエベル専門学校卒業。都内1店舗を経てフリーランス、ヘアメイクに。2008年logを設立。サロンワークの他、ファッション誌、業界紙の撮影などで活動中。【斎藤】logトップスタイリスト、店長。2013年logに入社。サロンワークの他、ファッション誌、業界誌、ヘアメイクとして活動。多数のモデル、インフルエンサーから絶大な支持を得ている。


log:

https://www.instagram.com/log_daikanyama/

馬橋さんInstagram:

https://www.instagram.com/mabaaaaaan/

斎藤さんInstagram:

https://www.instagram.com/nahosaito_log/

CREDIT

ライター:詩乃 撮影:小野奈那子 編集:モリヤワオン(ノオト)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

¥0,000

PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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