棋士の「姿勢」を支える理想の一脚は?将棋・中村太地八段が語る、椅子へのこだわり
お気に入りの椅子を探せ!ゲストとゆく、オカムラショールーム見学

棋士の「姿勢」を支える理想の一脚は?将棋・中村太地八段が語る、椅子へのこだわり

#ライフスタイル #仕事・働き方 #健康的なくらし #在宅ワーク
Contessa Ⅱ(コンテッサセコンダ) Finora(フィノラ) Lives Work Chair(ライブスワークチェア)

デザイン、座り心地、サイズ感……チェックすべきポイントがたくさんある椅子や家具を選ぶ際には、実物を見てみたいという人も多いはず。もしオカムラ製品の購入で迷いがあるなら、全国各地に存在するショールームに訪れてみてはいかがでしょう? 大型家具店やショップと比べるとなかなか訪れる機会は少ないかもしれませんが、製品を詳しく知るのにぴったりの場所なんです。


モノ選びへのこだわりを持つゲストとともにオカムラショールームへ訪れ、「お気に入りの一脚」を見つけるまでを擬似体験する本企画。第2回目は、日本将棋界を牽引する棋士・中村太地八段に登場いただきます。


対局だけでなく、自宅でも将棋の研究を行なう棋士にとって「椅子やデスクなどの作業環境はすごく重要です」と語る中村さん。ショールームを巡りながら、家具選びの基準や棋士としての矜持についてうかがいました。

棋士もうらやむ、ワークスペースの最新系

第1回目に引き続き、舞台となるのは東京・紀尾井町のオカムラ ガーデンコートショールーム。広大な敷地の中にデスク、椅子、ソファなどさまざまなオフィス家具が並べられており、それぞれ実際に見て触って確かめることができます。また、自分にぴったりの家具を知るだけでなく、これからの働く環境のあり方も学ぶことができるんです。


これまでは、デスクと椅子が画一的に並んだイメージのあったオフィス空間ですが、在宅ワークが浸透し、それによる出社率の変化などによって、より自由でフレキシブルな空間に変わりつつあります。

中村 太地(なかむら たいち)

1988年、東京都府中市出身。2006年、高校3年次に四段に昇段、棋士となる。2011年度には勝率0.8511を記録し、第39回将棋大賞の勝率1位賞を受賞。また2017年の第65期王座戦では羽生善治王座(当時)に挑戦し、3勝1敗で初タイトルを獲得した。

個人でもチームでも作業ができるなめらかな曲線のラウンドテーブル、立ち姿勢や座り姿勢にも対応できるデスク、静かで快適な空間を両立した一人用ブースなど、最新のワークスペースを目にした中村太地さんは驚きを隠せない様子で「うらやましい」と一言。そのあとに、こう続けました。

中村
僕たち棋士にとって身近なオフィスとも言える東京将棋会館の事務室は、デスクと椅子が並ぶ「オフィス然」とした場所なんです。だから、いまのワークスペースはこんなにおしゃれなんだとびっくりしました。


こんなふうにテンションが上がる環境で働けたら、作業も捗りそうですし、モチベーションも保てそうですね。2024年は、日本将棋連盟が100周年を迎える年なんです。それに伴って、将棋会館も年内に移転する予定なんですけど(※)、ここにあるような設備が追加されたら嬉しいな……とつい妄想してしまいました(笑)。

※東京将棋会館は、2024年に「千駄ヶ谷センタービル(東京都渋谷区千駄ヶ谷1-18-1)」の1階に移転予定

人と人の距離や位置の関係性に着目した「ワークアイル」のラウンドテーブル。会話しながら作業しやすい距離、相手を感じながら作業しやすい距離、集中して作業しやすい距離を計算してデザインされている

立ち姿勢と座り姿勢のそれぞれに対応する「ワークキャリアー」。高さ違いのテーブルを配置することで自由な働き方を促進

防音はもちろん、照明、換気などの機能を兼ね備え、快適な空間をもたらす「テレキューブ by オカムラ」

大事な対局前は1日10時間、PCの前に座る

続いて中村さんの目に入ったのは、大きなリクライニングチェアが置かれた仮眠スペース。脳をリフレッシュし、効率性を高める効果がある短時間睡眠は、数年前から「パワーナップ(積極的仮眠)」という言葉で注目を集めています。


中村さんも、フルリクライニングチェアに体を預け「これは良いですね……」と夢見心地の表情。「対局中、5分10分寝て頭をスッキリさせたいときがあるんですよね。これが将棋会館にあったら、棋士から大人気だと思います」と、頭脳を使い長時間戦い抜く棋士ならではの感想を口にしながら、ひとときの休憩を味わったようです。

オフィスでの仮眠にフォーカスした「シエルボ」

ショールーム見学中、中村さんがもっとも興味をそそられたというのが上下昇降デスクのコーナー。昇降デスクは、天板の高さを変更でき、立ち仕事と座り仕事をどちらも一つのデスクで叶えられる優れもの。立つ・座るを繰り返すことで、集中力の持続や健康状態にも良い影響をもたらすと言われており、健やかなワークスタイルを叶える存在として、オフィスだけでなく自宅で導入する人も増えているそう。

中村

大事な対局前だと1日10時間くらいPCに向かって対策を練っているんですよ。考えが煮詰まったときに立ちながら作業したくなったり、血流の滞りなどが気になったりする場面も多いので、昇降デスクにはもともと興味がありました。


それに、僕は背が大きいので、天板の高さが固定されていると少し窮屈に感じてしまう。そうしたちょっとしたストレスも解決してくれそうで良いですね。実物を見てさらに購入したいと思いました。

電動昇降デスク「スイフト ネックス」。180cmある中村さんにもちょうど良い高さに調整できる

電動昇降機能を備える「パラダイム」。写真のカンチレバータイプは、足を自由に伸ばせる

「コーラル」を愛用する中村太地八段。次に選ぶ一脚は?

オフィス家具の展示エリア見学が終わったあとは、オカムラチェアが並ぶシーティングエリアへ移動。じつは、中村さんはご自宅でオカムラの「コーラル」を愛用中とのこと。下調べを重ね、もちろん試し座りもしたうえで購入したそうですが、今日、それを超える運命の出会いはあるのでしょうか?

フラッグシップモデルからカジュアルなモデルまで多種多様なチェアに試座した中村さん。何度も座り直し、吟味を重ねた結果、「特に気になる」と選んだのは「コンテッサ セコンダ」「フィノラ」「ライブス ワークチェア」の3種類です。

左から「ライブス ワークチェア」「コンテッサ セコンダ」「フィノラ」

まず1つ目の「コンテッサ セコンダ」は、オカムラチェアのなかでもフラッグシップモデルに位置付けられたチェア。自動車のデザインや開発を手がけるイタリアのデザインファーム「イタルデザイン」による美しいフォルム、世界クラスの強度と高い機能性が特徴で、極上の座り心地を提供しています。

中村

座った瞬間に体全体を包み込んでくれるような心地よさがあり、フラッグシップモデルとしての実力を感じました。仕事中だけでなく、ちょっと休憩したいときにも体を支えてくれそうで、シーンに合わせて重宝できそうです。まさに「憧れの椅子」ですね。

「コンテッサ セコンダ」。メッシュの透過性が高く、軽やかな印象を演出

2つ目は、ダイナミックで軽快なデザインが目を惹く「フィノラ」。こちらもイタルデザインとのコラボによって誕生。現代にマッチする斬新なデザインと機能性を求め、自動車デザインで培った「イタルデザインの美意識」と、約70年に及ぶシーティング開発で磨いた「オカムラの技術力」が集結した逸品です。

中村

今回ショールームに訪問するにあたって、僕自身、オカムラの製品を事前に調べてみたのですが、開発ストーリーなどを読むなかで一番魅力を感じたのが「フィノラ」でした。実物を前にして、デザイン性の高さには目を見張りましたし、座り心地もばっちりでした。

背から伸びるアームや流れるようなフレームラインが特徴的な「フィノラ」

そして、最後は「ライブス ワークチェア」。オカムラチェアのなかではもっともカジュアルな製品グループに属し、機能性をシンプルにすることでコンパクトなつくりを実現しています。


ファッション性が高くカラーバリエーションも豊富なため、ワークスペースのほかリビングなどの生活空間になじみやすいのも特徴です。中村さんも、そのフォルムに心惹かれたのだと教えてくれました。

中村

この形の椅子はなかなかないですよね。洗練された見た目なので、自分の家に置くなら作業場よりもリビングを選ぶかもしれません。ちょっとした作業にも重宝しそうですし、一脚といわず二脚セットで欲しいです。

リラックスした空間になじみやすい、やわらかいフォルムの「ライブス ワークチェア」

新たな椅子との出会いを楽しんだ最後に、使用中のコーラルについても感想をうかがいました。

中村

自宅で使っているコーラルには、「自分にピッタリ」と自信を持って言えるくらい満足しています。作業にも大活躍でリラックスもでき、オプションでつけたランバーサポートが腰をしっかり支えてくれて、つねに寄り添ってくれる感覚があります。今日座らせていただいたチェアも素晴らしかったのですが、まだしばらくはコーラルにお世話になりそうです。

「棋士はアスリートに近い」。素材の違いはパフォーマンスにも影響

広いショールームツアーとチェアの試座が終わり、一段落着いたところで、中村さんの椅子選びについてお話をうかがうことに。果たして、どのようなこだわりを持っているのでしょうか?

中村

棋士という職業には腰痛の悩みがつきものなんです。なので、第一は腰のサポートを含めた機能面。あとは座り心地や、お手入れのしやすさも重視しています。


僕は肌が弱く、普段着る洋服でも素材が気になるので、コーラルを買うときは座面や背面の肌触り、滑りやすさ、通気性などの観点で張地を選びました(※)。オカムラの椅子は、そうした素材の選択肢が多いのもありがたかったです。

※オカムラの椅子やデスクは「素材セレクト」から背面や座面、天板の素材を選ぶことができる

「CMF(COLOR MATERIAL FINISH)」の展示。漁業網やペットボトル、廃棄生地などを由来にしたサステナブルな生地も

3Dプリンターで製作されたバイオマスプラスチック素材の「アップリング」

デスクの突板も天然素材からメラミン、クロス、スチールなどさまざま

ときに何十手先まで予測し、自らの一手に魂を込める将棋には、並々ならぬ精神力・集中力が必要とされるはず。作業環境の良し悪しはどれくらいパフォーマンスに影響するのでしょうか。

中村

棋士にとって家のなかの環境はものすごく大事です。いつもとことん将棋に向き合っているからか、オンラインで対局をしていても、いま自分が最高のパフォーマンスを発揮できているかどうかがすぐにわかるんです。そういった意味では、棋士はアスリートと近いのかもしれません。

棋士としての矜持を持つことで、世の中の見方が変化

もともとはその時代の流行り物を選ぶことが多かったという中村さんですが、歳を重ねるにつれて、棋士としての矜持を持つようになり、家具の選び方も変化したのだと教えてくれました。

中村

現在、将棋のことをもっと知ってもらうために、YouTubeで魅力を発信しています。初めて棋士を見る人にとっては、僕が「棋士の代表」として映る可能性もある。プロとして名に恥じないよう、多くの人に楽しんでもらえるような記録を残していきたいと思っています。これからの将棋界のことを考え、どのように振る舞うべきか、棋士として歩んだ18年間で考えてきました。


たとえば、対局の記録である「棋譜」は、対戦相手とつくる「作品」でもあります。もちろん勝敗は大切ですが、勝負の行方が決まったあとは無駄な悪あがきはせず、攻防で有効に働いていない駒をきれいにさばき、美しい棋譜づくりに徹しなければなりません。また、主要な対局は全国放送もされるので、視聴者の方々に与える「姿勢の印象」にも気をつけるようにしています。


こうした気持ちで世の中に目を向けてみると、それぞれの分野にプロがいることに気づいたんです。ものづくりもそうですし、会社員の方でも「仕事の進め方のプロ」もいて、皆さんが哲学を持って仕事をしている。その道のプロの思いが込められたものは、クオリティもたしかだと信じているので、家具選びの基準も自然とそうなりました。

私たちの生活は、いつだって誰かの努力によって支えられている……。一つひとつの家具の裏側にも心を配り、フィールドは違えど、同じプロフェッショナルに深いリスペクトを持つことも、中村さんのこだわりをかたちづくる要素の一つなのでしょう。


最後に「快適な暮らしとは?」と尋ねると、このように答えてくれました。

中村

何かをやりたいと思ったとき、不自由なくそれを実現できる暮らしでしょうか。自分が身を置いている状況にストレスがなく、リラックスできることも大切だと思います。自宅にある家具は、普段の生活に溶け込んでいて意識することも少なかったのですが、ふと考えてみると「この家具に助けられっぱなしだな」と思うことばかりで……。今日、ショールームを見学してあらためて実感しました。


僕は調べ物が大好きで、家具一つ選ぶのにもものすごく下調べするんです。特に椅子は「絶対にこれがいい」というものしか選ばないので、特徴を知れば知るほど奥深さを感じますし、椅子選びが楽しくなります。ショールームに訪れていろいろと見比べてみるのが、自分にぴったりの一脚を見つける近道なのかもしれませんね。

Contessa Ⅱ
[コンテッサセコンダ]

Finora

[フィノラ]
Lives Work Chair
[ライブス ワークチェア]
PROFILE
中村太地
中村 太地(なかむら たいち)
棋士
CREDIT

ライター:石澤萌(sou) 撮影:寺内暁 編集:川谷恭平(CINRA,inc)

ブランド名

商品名が入ります商品名が入ります

★★★★☆

¥0,000

PROFILE

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

山田 太郎

CO-FOUNDER & CTO

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。

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