親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
毎日、長い時間を共にする家具であるチェア。だからこそ、専門家のアドバイスも聞きながら、自分に合ったものを納得して選びたい。デスクワーカーのみなさんの中には、そんな思いをもつ人も多いのではないでしょうか。
オカムラが個人のお客様専用に新たにオープンしたサロン「Chair isn’t(チェアイズント)」は、人生を長く支えるパートナーとなるチェアとの出合いを提供しています。
今回は、サロン責任者の神﨑仁利さんに、サロン開設の背景からユニークなサービス内容、チェア選びの哲学について詳しく伺いました。
見て、触れて、座って。体にフィットするチェアに出合える
個人のお客様にオカムラの製品を直接体験いただき、その価値を感じていただく場所があまりなかったことがきっかけです。オカムラの製品を展示するショールームは全国各地にあるのですが、来場者は法人のお客様が大半で、スタッフ数にも限りがあるため、個人のお客様には十分なご案内ができていませんでした。手前味噌ですが、「オカムラはすごくいい製品を作っているのに、その価値を伝えきれていないのはもったいない」と感じていたんです。
個人のお客様にとって、オカムラのチェアは気軽に買える価格帯ではないかもしれません。だからこそ、「他のチェアとは何が違うのか」「自分に合ったチェアはどれか」といったお問い合わせも多くいただきます。こうしたニーズに応えるために、「Chair isn’t」をオープンしました。

「Chair isn’t」責任者 神﨑仁利さん
「オカムラのチェアを見て、触れて、座って」体感いただく体験に重点を置いています。
「Chair isn’t」には、多種多様なオカムラ製品の中からブランドECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」で購入できるおすすめのチェアを厳選してご用意しています。そのなかから、お客様の体格や座り方、用途に合わせて、店舗スタッフがおすすめのチェアをご提案します。
また、オカムラのチェアは、機能やデザインだけでなく、メッシュ素材や座面のクッションも製品ごとに異なるものを自社工場でつくっています。いずれも、オカムラの独自技術をもとに作っている素材です。そういった詳しい特徴はカタログだけでは伝わりにくいので、実物をお見せしながらご説明します。

たとえば、座面の「異硬度クッション」は、実はチェアの種類ごとに構造が異なる。外からは見えない座面素材も断面を触りながら説明を受けることで、納得感が高まる
―専門のスタッフに提案してもらえるのはありがたいですね。サロンにあるチェアは、どのような視点でセレクトしているのですか?
チェア選びでまず大切なのは、体に負荷がかかりづらいことです。自宅で長時間使うことを想定し、さまざまな体格の方が、自分の体に負荷がかかりにくい製品を選べるバリエーションをご用意しました。

オカムラのさまざまなチェアが並ぶ試座スペース
さらに、よりお客様ごとに最適なチェアを見つけられるよう、フルカスタマイズができる製品が中心です。

肘掛けやヘッドレストの有無といったカスタマイズはもちろん、張地のバリエーションも。自分のワークスペースにピッタリの色や素材を選ぶことができる
専門家による無料のパーソナルフィッティングサービスも
―「Chair isn’t」では、座り方に関する知識も教えていただけるのでしょうか?
はい、オカムラが提唱する「好ましい座り方」もお伝えしています。多くの人は、自分の座り方が正しいのかがわからないまま、チェアを選んでいるのではないでしょうか。小学校などで「椅子に浅く座りましょう」と教わった方もいると思いますが、これは椅子が持つ荷重分散やリラックスさせる機能を失わせることにつながります。
好ましい座り方の基本は、自然な呼吸が保てる程度に、背もたれに体を預けることです。この座り方を確認いただくために、サロンにはご自身の座る姿勢を鏡で見られるスペースを設けています。足裏が床についているか、座面の奥まで腰掛けられているか、背中と背もたれに隙間がないかといったチェックができるのです。この正しい座り方を理解したうえで、どのチェアが一番座り心地がいいと感じるか、フィッティングに進んでいきます。

モニターに映し出された「好ましい座り方」をチェックしながら、チェアを試すことができる
―自分が納得する一脚を選べそうですね。
オカムラチェアマスターによるパーソナルフィッティングサービスもあるとお聞きしました。そもそも、オカムラチェアマスターとはどんな方なんでしょうか?
オカムラチェアマスターは、社内認定されたチェアの専門家です。製品知識だけでなく、オカムラが1960年代から始めた椅子の研究の歴史や設計思想、人間工学などを深く学んでいます。豊富な知識をもとに、お客様一人ひとりに合わせたご提案ができます。
2026年1月中旬から、オカムラチェアマスターによる予約制のパーソナルフィッティングサービスをスタートします。1日3組限定で受け付ける予定です。
―専門家に詳しく相談できるのは心強いですね。具体的に、どんなサービス内容なのでしょうか?
オカムラの紹介から始まり、その後、人間工学の基本知識や、先ほどお話しした「好ましい座り方」をご説明します。そこからフィッティングサービスに移り、お客様に最適な一脚をセレクトさせていただきます。
さらに、そのチェアを、個室の書斎に持ち込んで、最大30分間じっくりと座って体験していただきます。個室にあるデスクは昇降式なので、ご家庭のデスクの高さに合わせた設定で試すことが可能です。
―説明を聞いて少し座っただけでは、本当に「このチェアが自分に合っている」という確信をもつのは難しいので、30分も試すことができるのはありがたいですね!
ご自身がしっくりくる一脚を見つけるまで、心ゆくまでお試しいただければと思います。その後、ご購入方法をご案内し、最大で約90分間のコースとなっています。


長時間の試座ができる書斎(左)とゲームルーム。個室体験はパーソナルフィッティングサービスの予約者が優先となるが、空いていれば予約がなくても10~20分程度の利用が可能
なお、「Chair isn’t」では製品の販売はしていないので、欲しい製品が見つかったら後日、ECサイトでご購入いただくことになります。ブランドECサイト「OKAMURA Lifestyle Store」をご利用いただいても良いですし、Amazonや楽天など各自でポイントを貯めているECサイトなど、お客様にとって最適な購入方法でお買い求めいただきたいと思っています。「お店に来たら買わなければいけない」と思うお客様もいらっしゃるかもしれませんが、このサロンはそうではないので、安心してお越しいただきたいですね。

悩みや要望をもとに、オカムラチェアマスターへの相談ができるサロンエリア
―オカムラチェアマスターのパーソナルフィッティングサービスは、有料でしょうか?
いえ、無料でご利用いただけます。このサロンは、オカムラ製品の良さを知っていただき、後悔しない一脚を選んでいただくための場所であることから、無料で行うことにしました。
もちろん、予約をせずにふらっと立ち寄ってチェアを試していただくことも可能ですので、ご自身の目的に合わせてサロンを活用していただければと思います。

作業場所として活用できる、フリーエリアもオープン
一人ひとりの「人生を支える」一脚を

―サロンの名前も印象的です。「Chair isn’t」には、どのような思いが込められているのでしょうか?
チェアに対する固定観念をひっくり返したいという思いから、あえて「否定形」のサロン名にしました。ロゴマークも後に続く文章を予感させるようなデザインにしていて、「Chair isn’t just for office.」(オフィスだけのものではない)や「Chair isn’t just for sitting.」(座るだけのものではない)といった意味合いをもたせています。
チェアは「ただ座ることができればいい」と思っている方も多くいますし、3万円のチェアと30万円のチェアの違いは、見た目だけではわかりません。その結果、価格が安いものをなんとなく選んでしまうこともあるのではないでしょうか。
私たちは、チェアは単なる道具ではなく、「人生を支えるもの」だと考えています。ベッドや洋服は、こだわりをもって選ぶ方が多くいますが、それと同じくらいチェア選びにもこだわってほしい。こうした思いを込めて、「Chair isn’t」と名付けました。

―チェアは「人生を支えるもの」というお話がありました。私たちは、なぜそこまでチェアにこだわる必要があるのでしょうか?
現代社会は、座る時間が長い生活をしている人が大半です。1日8時間以上座っている方も珍しくありません。にもかかわらず、チェアに関する知識を学ぶ機会は、ほとんど無いですよね。
高機能マットレスやベッドなど、1日の中で多くの時間を費やす睡眠にこだわる人は増えています。チェアに座る時間も睡眠に匹敵するほど長いわけですから、本当はこだわって選ぶべきなんです。
そもそも長く座るという行為自体は、人体構造的に体によい影響を与えません。だからこそ、座るという行為で体にかかる負荷を少なくし、リラックスできる状態をつくることが、チェアが担うべき役割です。ただ座るのではなく、健康を損なわない、体に負荷がかからない、といった好影響がある製品を長く愛用していただきたいと思っています。
「座れればいい」というイメージを変えてほしい
―オープン以降、サロンでお客様と会話をする中で、どのようなニーズがあると感じますか?
オープンから数日が立ちましたが、これまでにご来店されたお客様は、事前に製品について詳しく調べている方が多かった印象です。知識だけでは得られない「確信」がほしくて、サロンに足を運んだとのことでした。高額な買い物になるので、スペックだけでは決められず、「実際に体験したい」と思ってお越しになるお客様がほとんどです。ご家庭で使っているデスクの高さに合わせてチェアを試したいという方も多くいました。
「Chair isn’t」は、月曜日・木曜日・金曜日・土曜日・日曜日に営業しています。オカムラショールームは平日のみの営業なので、休日にチェアを試せるのはありがたいという声も多くいただきました。嬉しいことに、SNSなどを見て開店前からお待ちいただいたお客様もいらっしゃったほどです。

「Chair isn’t」外観
―最後に、このサロンをどのような方に活用いただきたいか、メッセージをお願いします。
チェアは「座れればいいもの」と思っている方にこそ、「Chair isn’t」に来ていただきたいです。在宅ワーカーの中には、ダイニングテーブルなどで仕事をしていて、「デスクとチェアは何でもいい」と考えている方も少なくないと思います。
ただ、それは睡眠不足のように、体に負担をかけてしまっている行為なんです。長い目で見ると、健康を害してしまう恐れがあります。
このサロンでチェア選びの重要性を知ると、もう自分にフィットしないチェアには座っていられなくなるはずです。健康寿命がどんどん伸びている時代ですが、人生をより長く楽しむためにも、チェアによって健康寿命をさらに延ばせると私は信じています。
チェア選びに迷っている方や、職場のチェアと自宅で使っているチェアの座り心地が違うと感じた方は、「Chair isn’t」でぜひ答え合わせをしてみてください。ご存知ないこともたくさんあると思いますが、それをお伝えするのがこのサロンの役割です。
―なんとなく「座っていると疲れるな」と感じる程度であっても、足を運んでよいのでしょうか?
神﨑
もちろんです。ご購入を検討する前の段階であっても、ご来店いただいて構いません。むしろ、体に合わないチェアを買って後悔しないよう、少し興味をもった段階で来ていただきたいと思っています。
このサロンを通して、一人でも多くのお客様に「悩みが解決した」と感じてもらいたいですし、人生にとってプラスになるチェアに出合い、オカムラのファンになっていただけたら嬉しいですね。ぜひ、気軽にお越しください。
▼サロン「Chair isn't」
https://lifestylestore.okamura.co.jp/pages/chair-isnt
▼サロンのご予約(チェアマスターによるパーソナルフィッティングサービス)はこちらから

神﨑仁利
オフィス環境事業本部 事業戦略統括部 ライフスタイル営業部 部長/オカムラチェアマスター 認定人間工学プラクティショナー
2008年入社。オフィス家具の販売店を管轄する支店に所属し、一般企業、学校法人を担当。2024年夏、ライフスタイル営業部にてEC販売、個人向け販売責任者となる。好きな言葉は「初志貫徹」。陸上競技歴は20数年。高校時代から続けていて、現在もマスターズ陸上に挑戦中。
取材・執筆:御代貴子 撮影:藤原葉子 編集:モリヤワオン(ノオト)
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