親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
「在宅勤務」という働き方が広く浸透してからこの春で3年。PC機材や通信環境はしっかり整えたものの、いまだに執務用のデスクや椅子は後回しにしてしまい、腰の痛みや身体のだるさを抱えながら仕事をしている……という人も少なくないのではないでしょうか。また、一念発起して執務スペースを整えようと思っても、どんなふうに椅子を選んだらいいのかわからないということも。
そこで今回は、自宅でもオカムラチェアを愛用している株式会社オカムラの三浦彩乃さん、井坂麻実さん、岸部重伸さんの3名に登場いただき、椅子選びの大切さについてうかがいました。それぞれの“推しチェア”との出会いから好きなところ・気になるところ、自分にぴったりの椅子を見つける方法まで、オカムラ社員だからこその本音トークをお届けします。
在宅勤務をきっかけに、自宅にもオカムラチェアを導入。推しチェアとどう出会った?
パラベルはホームユースを目的とした椅子になります。なので、ほかの椅子と比べてサイズ感がすごくコンパクトなんです。通常のパラベルは基本的に無地なんですけど、私が使っている伊東屋限定仕様は張地が赤とピンクのチェック柄で、すごく可愛いのがお気に入りです。
バロンはフラッグシップモデルに位置づけられる製品です。私自身、オカムラに入社してからオフィスでずっと使っていた椅子がバロンだったんです。オフィスを歩いていると、デスクごとに置かれたバロンの背面が横一列に並んでいるのが目に入るんですけど、黒メッシュのバックビュー(背面)がとにかくかっこよくて。座り心地はもちろんデザインにも魅力を感じていたので、自宅でも使いたいと思って購入しました。
(左から)三浦彩乃。営業支援部第一営業支援センター 第一グループ / 井坂麻実。地方創生ビジネス推進部 自治体ソリューション室 / 岸部重伸。人財開発部 課長。それぞれの推しチェアとともに(写真内のチェアは、それぞれ自宅で使用しているものとは張地などの仕様が異なります)
大きなきっかけは新型コロナウイルスの流行で在宅勤務が増えたことですね。家で仕事をする時間が長くなったものの、それまで自分のワークスペースを持っていなかったので、リビングとは別の場所にちゃんと仕事する場所をつくろうと思いました。
私も同じく在宅勤務がきっかけです。2020年の春から、この3年間で徐々に在宅環境をグレードアップさせていきました。最初はローテーブルに座って、ベッドの横の部分を無理やり背もたれにして座るところからスタートして……いま思えば、うちの会社で働いていると思えないようなひどい環境でした(笑)。さすがにそれはまずいということで、ダイニングテーブルとダイニングチェアを買ったんですけど、どうにも座りにくいし、1日座っていると疲れちゃう。会社で働いているときと比べて身体がだるくて、あらためて「椅子って大事だな」と痛感したんです。
ダイニングチェアで長時間テレビ会議すると、本当に腰もお尻も痛くなるよね。私もそれで買おう! って踏ん切りがついたかもしれない。
三浦さんが自宅で実際に使っているシルフィー(写真提供:三浦さん)
私は、置く場所が狭いという制約があったのでとにかくコンパクトさを重視しました。家のなかで使っても違和感がなく、インテリアに馴染むデザインのものがいいなと思ったんです。座り心地は社内にあるものでたしかめていたのですが、ファブリックは実際に見ないとわからない部分があったので、伊東屋に足を運んで接客されてから買いました(笑)。
いろんな椅子を試せるのはオカムラ社員の特権ですよね。私も、出社したときにいろんな椅子に座って、1日仕事をしてみてからシルフィーに決めました。
推しチェアと出会って何が変わった? 「ここが最高!」から、ちょっと残念なポイントも聞いてみた
―推しチェアを導入してから、体調面やライフスタイルでの変化はありましたか?
私は腰痛持ちで……。すぐに腰が痛くなってしまうので、自宅のバロンには「ランバーサポート」という腰まわりを支えるオプションを追加しています。しなりやすいメッシュチェアに強度を与えてくれますし、腰がフィットするように位置を調節できるんです。仕事柄、オンラインの研修講師やその運営で長時間座ることも多いのですが、前よりも腰の痛みが気にならなくなりました。すごく満足度が高いですね。
岸部さんが自宅で実際に使っているバロン(写真提供:岸部さん)
シルフィーの場合はクッションの柔らかさが効いているな、と思います。「異硬度クッション」というオカムラ独自のクッションを導入していて、お尻のところと膝裏のところとで硬さが違うので、足の負担が軽減されやすいんです。
それに、座面の奥行き調整機能にも助けられています。一時期、夫のゲーミングチェアを借りていたんですが、私はかなり小柄なほうなので奥行きが広すぎて座りにくくて。背もたれに背中が届かないから、クッションを2個くらい挟まないといけなかったんです。シルフィーを買って奥行き調整できるようになってからは、1日8時間座っていても疲れを感じにくくなりました。
座面の奥行き調整機能では、座面左のレバーを操作することで50mm調整することができる。異硬度クッションは、硬さの異なる3種類のウレタンを一体で成型したもの。前方は太ももを圧迫しない柔らかな座り心地のクッション、後方にはお尻をしっかりサポートする硬めのクッションを採用している
私もダイニングチェアで仕事をしていたときはつねに足が浮いている感じで、段ボールに足を乗せて仕事してました。家具メーカーの人間としてあるまじき状況!(笑)。パラベルには座面の高さを調整できる機能があるので、ようやく足が地面につくようになりました。
あとは三浦さんが言っていた通り、異硬度クッションがすごいパワーを発揮してくれています。自然と姿勢よく座れるようになったし、2時間ぶっ通しで会議していてもお尻の骨がぜんぜん痛くない。いい姿勢で仕事していると気持ち的にもしゃきっとしてくるんですよね。
―それぞれの推しチェアの素敵なポイントをたくさん発見されているんですね。そのなかでも「ここが最高!」というポイントは?
座面の奥行き調整が一番だけど、それ以外だと背中のカーブを変えられることかな。身体に合わせて調整できると、椅子が私自身に寄り添ってくれている感覚になれます。
私はリビング空間へのフィット感、あとはときめき感ですね。いまでも張地のチェック柄を見るたびにキュンとするんですよ。「はぁ、かわいい」ってテンションが上がる!
井坂さんが自宅で実際に使っているパラベル。一般的な椅子よりも低い、380mmから座面の高さ調節が可能なため、靴を脱いだ室内でも好ましい姿勢で在宅ワークに取り組むことができる(写真提供:井坂さん)
―毎日見て触れるものだからこそ、テンションが上がるデザインを選ぶのは大事ですよね。岸部さんもやはりデザインでしょうか?
デザインは大きいんじゃないかな。座り心地と機能が揃っている、しかもデザイン性もいいメッシュチェアって、昔から憧れが強かったんです。スタイリッシュで空間にもおしゃれさが出ますし、手に入れられたことに喜びを感じます。
―逆に、「ここは少し残念だった」と思うポイントはありますか?
残念というより、正直「ちょっと高いな」とは思いました。私は会社で試して座り心地を知っているから安心して買えるけど、オフィスチェアの機能性や快適さを知らない方からしたら勇気のいる価格帯なんだろうなって。ただ、いろんな機能がついているということは可動部が多いということで、その可動部をつくるためには、どうしてもお金が積み上がっていってしまうんです。高いから無理! と最初から諦めるんじゃなくて、価格のぶんだけ椅子が自分に寄り添ってくれることを知ってもらえたら嬉しいなと思います。
私の場合は、子どもたちに汚されまして……。子どもも座る場所に置いているから仕方のないことなんですけど、気づいたら赤いペンのインクがついてる! みたいな悲しい事件が発生しました。パラベルのなかにはカバーを外して洗えるモデルもあるんですが、伊東屋限定仕様はそれができないので、すこし悔しい気持ちになります。
私も自宅だからこその悩みだと思うのですが、座面がメッシュなだけに目詰まりを起こすんですよ。たとえば、息子がバロンに座って宿題をやるときフリース素材のズボンを履いていると、こすれてメッシュに毛玉が入っちゃうんです。在宅勤務と会社で働くときとでは服の素材も違ってくるので、そこは盲点でした。クリーナーでコロコロしたら取れるんですけど、美しく保つための労力はかかりますね。
どうせなら長く大事に使ってほしい。椅子選びのコツは妥協しないことと、イメージを膨らませること
―いま使っている推しチェアを人に勧めるなら、どんな人に勧めたいですか?
椅子に座ってて疲れちゃう人は、一旦シルフィーに座ってみてほしいです。座った瞬間のクッションの柔らかさも全然違うけど、長く座れば座るほどほかの椅子との違いがわかると思うので。
長時間の会議がある人です! パラベルはホームユースの椅子だけど、オフィスチェアをつくっているオカムラが生んだモデルなので、長く座っていても疲れません。あとは、家に圧迫感を出したくない人にも全力でおすすめしたいです。わが家はリビングに掘りごたつがあるんですが、低い位置からワークスペースを見たとき、大きいオフィスチェアだと威圧感がでちゃうと思うんです。でも、パラベルはちょこんとしていて嫌な感じがまったくありません。ホームユースだからこその魅力ですね。
私は、自宅でも気持ちを切り替えて作業したい人にバロンをおすすめしたいです。仕事でも、ネットを見るでもなんでもいいんですけど、バロンに座ると「やるぞ」っていう気持ちになれて、集中できる気がして。
― これからオカムラのチェアを探す人に向けて、自分にぴったりの製品を選ぶためのコツがあれば教えてください。
椅子は直接身体に触れるものなので、フィットするものを見極めてもらえたら。洋服と一緒で、デザインだけで適当に選ぶと「なんか着心地悪いな」ってなっちゃうと思うんです。どうせなら長く大事に使ってほしいですし、妥協せず自分に合うものを探してみてください。おすすめは、メーカーのショールームに行ってみること。椅子がたくさん並んでいる場所って、ほかにはなかなかないんじゃないかな。
私はクッションの柔らかさに注目してほしいです。シルフィーは価格の割に厚みがあってふかふかしているし、異硬度クッションの技術もあって体重をきれいに分散してくれるんですよ。座っているときのバランス感ってとても大事なんですよね。
私は、一瞬座っただけの感覚は嘘だと思っている節があるので、できれば少し長めに座ってほしい。ハードルが高いと思うんですけど、勇気を出してショールームを予約してもらえたら、ショップよりも吟味して選べるはず。椅子を置く場所のサイズも測ったうえで実際に商品を見て、じっくり座って、イメージを膨らませてから、これはマッチするぞというのを選んでもらえたら嬉しいです。
置いたら想像以上に大きかったとか、デスクの高さと合わないとか、脚がドアの間口に突っかかっちゃうことってあるよね。ほしい椅子のサイズは図面でチェックしつつ、廊下の幅など家のなかの寸法を測ることがすごく大事だと思います。
― 最後に、オカムラ社員として知ってもらいたい、オカムラ製品のこだわりを教えてください。
オカムラのウェブサイトには「カラーシミュレーション」という機能があって、本体や張地、フレームの色を選んでシミュレーションできるんです。脳内だけで考えるのは難しいので、事前にHPを使って自分にとって最高の組み合わせを見つけておくと、インテリアに馴染むものが選べるんじゃないかなと思います。
「カラーシミュレーション」ではチェアはもちろん、オカムラのさまざまな製品の色をシミュレーションできる(サイトはこちら)
今日何度も話に上がっていますが、異硬度クッションの技術は一番の推しポイントです。あと、いまは環境に配慮する時代なので、そういった観点でもオカムラ製品は優しいなと。張地にリサイクル材を使ったアイテムもたくさんありますし、すこしでも環境に優しいものを選びたいなら、検討する土台に上げてもらえたらいいな。
使い終わった椅子は、素材ごとに分解してリサイクルできるように設計されているのも魅力的だよね。あと、オカムラは品質を大切に、ものづくりへのこだわりがあるんです。椅子って、世に出るまでのあいだにたくさんの人が試行錯誤しながら開発製造に関わっているんですよ。私は人事という仕事柄、デザイナーや工場の設計者・技術者と話をする機会があるのですが、開発のストーリーや一つひとつの製品への思い入れの強さを実感します。そういった背景も感じながら、大事なお買い物を楽しんでもらえたらと思います。
三浦 彩乃(みうら あやの)
営業支援部第一営業支援センター 第一グループ
井坂 麻実(いさか あさみ)
地方創生ビジネス推進部 自治体ソリューション室
人財開発部 課長
ライター:石澤萌(sou) 撮影:有坂政晴 編集:石澤萌(sou)、服部桃子(CINRA,inc)
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