親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
はじめまして! OKAMURA Lifestyle Storeのクオッカ店長です。
普段から椅子のことばかり考えていたら、すっかり椅子マニアになってしまったぼく。でも、世界には椅子だけでなく、いろいろな形で好きなものに愛を注ぐマニアがいるみたい……! そこでこの連載では、椅子マニアのぼくがワークスペースを飛び出して、あらゆるマニアに「好きなものを愛でる楽しさ」を聞いていきます!
今回訪ねたのは、鍵盤ハーモニカを愛する南川朱生(みなみかわ・あけお)さんです。
そもそも鍵盤ハーモニカってどんな楽器? たくさんある楽器の中でなぜ鍵盤ハーモニカなの? とギモンはつきません。南川さんの自宅におうかがいし、鍵盤ハーモニカの魅力をたっぷり語っていただきました。
南川朱生
鍵盤ハーモニカ奏者・研究家
昭和62年生まれ、大阪出身、東京在住、元銀座OL。鍵盤ハーモニカに魂を売り、鍵盤ハーモニカの全てを承る、鍵盤ハーモニカを生きる人。いかなる話題も全て鍵盤ハーモニカに関連づけられる特技を活かし、パフォーマンスや、学校・学術機関での講義やWS、メディア出演や執筆を行う。

クオッカ店長
クオッカ村出身の、クオッカワラビーの男の子。生粋の椅子マニアでOKAMURA Lifestyle Storeの店長を務めている。ほかのマニアがどんなことに夢中になっているのか、興味津々!
検索するとサジェストに「捨て方」が出てくる不遇な楽器
今日は鍵盤ハーモニカ奏者・研究家の南川朱生さんのお宅へやってきました! おじゃましまーす。


南川さんのお部屋



外で演奏するときも持ち運びが楽だし、立ったまま吹くことができるという取り回しの良さも最高だなと。学校の図書室のパソコンで鍵盤ハーモニカについて調べて情報を集めるうちに、気づけば鍵盤ハーモニカのプロになる決意を固めていました。20歳のことです。
自らホースの分岐パーツを開発し、いまでは鍵盤ハーモニカの複数台吹きを行うことも。熱量がすごい……!
でも実はぼく、そもそも鍵盤ハーモニカってどういう原理で音が鳴っている楽器なのかよくわかっていないです。


鍵盤ハーモニカの内部。T字の金属部分がフリーリード

奏法のメソッドも確立していないので、吹き口をアレンジしたり、ボイスパーカッションをしながら吹いたりと、どのような自由な吹き方をしても正解になるのも魅力です。

シャウティングチキン(お腹を押すと叫び声のような音が鳴る鶏のおもちゃ)の頭をマウスピースにして演奏することもあるそう。チキンのシャウトと鍵盤ハーモニカの音色が混ざる!


「不遇」なところが鍵盤ハーモニカの魅力



アニメ『四月は君の嘘』や、漫画『おやすみプンプン』などさまざまな作品の中で、物語のキーとなる象徴的なアイテムとして登場しているんですけどね。鍵盤ハーモニカ自体がストーリーの主役になることは稀です。

鍵盤ハーモニカ研究の使命感を奮い立たせた60年前のピアニカ


「TOKAI pianica PC-1」(東海楽器製)

だから静岡にある東海楽器に行って、開発資料を見せていただけないか、当時の社長に直談判しました。

訪問時の様子

その他にユニークな鍵盤ハーモニカがあったら教えてください!


箱型の鍵盤ハーモニカ・「シンフォニウム」。丸い穴から息を吹き込む


楽器や音楽教育関係の学術書は1冊1万円近くするものもあるので、どちらかというと研究費にお金がかかっています。金額の内訳は鍵盤ハーモニカが1%で残り99%は研究費という割合です。

所有品のほとんどが中古品だそう。「鍵盤や本体に書かれたメモから前の持ち主のドラマを感じるのも鍵盤ハーモニカの魅力」と南川さん
小規模でも大胆に鍵盤ハーモニカの魅力を伝えていく

吹き口は中性洗剤で洗い、ホースなどの汚れがひどいときは塩素系の台所用漂白剤を薄めたもので洗って風通しのいいところで乾かすと基本的にはきれいになります。本体は金属のリードが入っているので水洗いはNGです。
何か鍵盤ハーモニカで困ったことがあったら、SNSでつぶやいてくれれば、もしかしたら私が助けに行くかもしれません(笑)。

私は「温かみがあって優しい音色」として売られていた木製の鍵盤ハーモニカを、魔改造して爆音が出るメタルな鍵盤ハーモニカにしちゃったこともあります。中の構造を見て、鍵盤ハーモニカ自身も企画・開発者も気づいていない持ち味を引き出してあげるのがすごく楽しいです。それは私独自の愛で方のような気がしますが(笑)。

「見た目はナチュラル系だけど、性格(音)はメタラーかも!」とウッキウキで改造したとか

少子化の影響で鍵盤ハーモニカの国内販売台数も少しずつ減っていますし、まだまだ演奏シーンを深堀りできる余地のある楽器です。だからこそ、世界中の鍵盤ハーモニカを愛する誰かと情熱を分かち合いたい気持ちが強いです。まるで誰かとハイタッチするように、小規模ですが大胆に鍵盤ハーモニカの魅力を世界に伝えていければと思います。
南川さんのワークスペースに踏み入れた瞬間、たくさんの鍵盤ハーモニカにびっくり! デスクでは研究や執筆作業、楽曲のアレンジ、オリジナル吹き口の試作などをしているそうです。まさに、偏愛の拠点……! いつかぼくもたくさんの椅子に囲まれて暮らしてみたいなぁ。

取材・執筆:神田匠 写真:栃久保誠 イラスト:キタハラケンタ 編集:モリヤワオン(ノオト)
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