親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。
仕事や趣味などに気兼ねなく取り組むことができるその人だけの空間、ワークスペース。その人の考え方や行動様式が、色濃く反映される場所でもあります。「ワークスペースの美学」は、自分自身の心地よいライフスタイルを実践している方にご登場いただき、そこに至った経緯や魅力、結果として得られたものなどについて伺うインタビュー連載です。
30回目のゲストは、登録者数35万人のYouTubeチャンネル『厳選クラシックちゃんねる』を運営するnacoさんです。「クラシックを、もっと身近に。」をモットーに掲げ、幅広い層にクラシックの魅力を届けています。
今回は、いつも動画を撮影しているお部屋にお伺いしました。実は配信や撮影だけでなく、動画の編集作業、それに加えてあらゆる生活をこの部屋で営んでいるのだとか。お仕事からリラックスタイムまで長時間いても楽しく過ごせるための工夫が、このお部屋中に散りばめられていました。
コロナ禍ではじめたYouTube。半年先まで公開スケジュールがみっちり

―いつも動画で拝見している景色の中に入り込んだようでうれしいです。まずはnacoさんがYouTubeをはじめたきっかけから教えてください。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出ていて、なにも身動きが取れない2020年4月にスタートしました。会社員として働いていましたが、「暇な時間が増えちゃったなぁ……」とぼんやり考えていたんです。
そんな時に前職の同僚が、YouTubeをやっているのをみて、「私もやってみようかな」と始めることにしました。当時は趣味のひとつ、みたいな感じでしたね。今では会社を退職し、この活動をメインの仕事のひとつにしています。
―YouTubeで発信する内容として、クラシック音楽に注目した理由を教えてください。
YouTubeのテーマは「自分の好きなもの」かつ「勉強しがいがあるもの」で発信しようと決めていたんです。私自身クラシックに限らず音楽全般が大好きなのですが、クラシックは著作権が切れている作品も多いので、具体的な作品を動画で使用して発信がしやすいですし、当時はクラシックに特化したチャンネルの数も多くなかったんです。

『厳選クラシックチャンネル』nacoさん
―nacoさんの音楽歴についても教えてください。
音楽との出会いは、小学生の頃からヤマハ音楽教室のジュニア専門コースに通っていたことでした。そこでピアノとエレクトーンを習い、12歳からは合唱、18歳からはリート、カンツォーネなどの声楽を学びましたが、私は演奏すること以上に音楽を「聴く」ことが大好きだったんですよね。
―動画でのnacoさんはとても楽しそうにクラシック音楽を紹介しています。「聴く」ことが好きというのも納得ですね。
ありがとうございます。『厳選クラシックちゃんねる』を見てくださっている視聴者さんは、クラシックに興味を持ちはじめた方から、クラシックを愛してやまない方まで幅広い方がいらっしゃいます。
例えば、定年退職を見据えて奥様と一緒にクラシックコンサートに通うようになった、子育てがひと段落して昔好きだったピアノを再開した、新しい趣味としてクラシックを聴きはじめたなんて声も聞いています。クラシックが好きで、もっと深く知りたいと思っている方には、ぜひ『厳選クラシックちゃんねる』をご覧いただければと思います。
―おすすめの作品や作曲家の人生など、さまざまな動画をアップされていますよね。普段はどのように動画の企画を考えているのですか?
「どの」企画を「いつ」出すか? は、動画編集スタッフと共に企画会議をしながらめちゃくちゃ考えていますね。作曲家の誕生日や命日にあわせて動画を作成したり、最近人気の「神メロシリーズ」はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンで締める! っていうところまで決めたり(笑)。あらかじめ公開スケジュールを組んで制作を進めています。予定を変更することもありますが、だいたい半年先まで決まっていますよ。
―すごいですね! 動画内で使われている音楽はどのように管理されているのでしょうか?
日本コロムビアさんのご厚意で、クラシック音源をお借りしています。ご担当者さんからは「YouTubeでクラシックの魅力を発信してくれるのは、私たちにとってもありがたいことだから一緒にやっていきましょう」と仰っていただき、いつか恩返ししたいと思い続けているんです。日本コロムビアさんのご協力がなければ、今ごろYouTube配信はやめていたかもしれません。

いつも撮影をしている机の上には、PCモニターの他にもヤマハのミキサーやマイクも設置している
ただただいい香りをかいでいる時間が至高
―nacoさんはこの部屋でいつもどのように過ごされているのでしょうか?
ここは自宅兼事務所で、睡眠、トイレ、お風呂以外はすべてこの部屋で過ごしています。
―えっ!?
1日16時間くらいここに座っていると思います。平日の朝は7時頃からライブ配信を行っているのですが、その後もこの部屋で動画原稿を作成したり、収録を行ったり、本を読むのもここ。昼間は隣で動画編集スタッフが作業していることもあるので、動画について話したり、基本的にはこの部屋で過ごしています。

いつも撮影しているスペースのバックには、大きな本棚が。インプットに欠かせない音楽書が多く詰まっている
—本棚もすごいですね。
音楽大学で使うような大事典も、全巻揃えています。ほかにも作曲家の伝記やなども多く揃えていて、動画の原稿をつくるための参考にしています。
—1日16時間過ごす中で、リフレッシュのタイミングなどはあるのでしょうか?
動画をみる時はオットマンに足をおいて、だら〜っとしますよ(笑)。これ以上倒してしまうと寝てしまうので、これくらいがちょうどいいですね。

リフレッシュでいうと、私はただただいい香りをかいでいる時間が大好きなので、紅茶や香水など香り物はよく使っていますね。香水は、家でも使っちゃいます。嗅覚が敏感なのか、とにかく“いい香り”に囲まれていたい! って気持ちが強いんですよね。

紅茶派だというnacoさん。1886年に英国で創業した「Whittard」や紅茶専門店「TEAPOND」のフレーバーティー、「マリアージュフレール」や「ダーヴィルス・オブ・ウィンザー」など棚にはお気に入りの紅茶が並ぶ
ソファやダイニングチェアとも違う、「自然な姿勢」でいられるチェア
―ここからはコンテッサ セコンダについてもお伺いしたいのですが、いつ頃購入されたのでしょうか?
2022年の4月頃だったと思います。ずっとちゃんとした椅子が欲しいと思っていて、YouTubeで「いい椅子」とか検索して調べていました。3〜4ほど候補を挙げて、実際に大塚家具さんに座りに行ったんです。そこで「これだ」と思ったのがコンテッサ セコンダでした。

手前には動画撮影スペース、その奥には編集などの作業を行うデスクが2台。うち1台のデスクはnacoさん専用で、いつもそこで作業をしている。それだけでなく、ご飯を食べたりリラックスすることも多いのだとか
―購入の決め手を教えてください。
正直、座ること自体にこだわりがあるタイプではなかったのですが、実際に座って「いいじゃん!」と思えたのが決め手ですね。椅子との相性が良かった、ということなんだと思います。
あと、コンテッサ セコンダは手元に機能が集約しているスマートオペレーションがいいですよね。リクライニングの固定と解除、座面の高さが調整できるので、自由自在! これまで3年半ほど座り続けてきましたが、椅子に座っていることに違和感を抱かないこと、椅子の存在を忘れてしまうような感覚になるのが一番いいポイントなんだと思います。

椅子って本当にいろんな種類があるじゃないですか? くつろぐだけならソファでもいいと思うのですが、それだと仕事モードにはならない。コンテッサ セコンダに座っていると「身体が凝るなぁ」とか「太ももが疲れてきたなぁ」とか思わないんです。自然な姿勢が保たれるというか、余計なストレスなく1日を過ごせるというか。本当に買って良かったなと思います。
―オカムラのことはもともとご存知だったのでしょうか?
以前働いていたオフィスの椅子がほとんどオカムラ製品だったんです。シルフィー、コンテッサなどがありましたね。
会社の椅子でストレスを感じたこともなかったので、私はオカムラ製品との相性が良いのだと思います。執務スペースも会議室もオカムラの椅子だったので、社内に「オカムラ推し」がいたのかもしれませんね(笑)。

―オフィス時代からのお付き合いだったのですね。ダークブラウンがシックなお部屋の雰囲気にピッタリです。
黒一色だとちょっと重たい印象になるかな? と思ったので、ダークブラウンを選んだ記憶があります。
スタッフ用の席も同じコンテッサです。私が使っているものは座面がクッションですが、スタッフ席はメッシュでブラック。メッシュだと見た目も軽やかな雰囲気で、黒でもスッキリしていますよね。
―動画やライブ配信で使われている椅子もダークブラウンのコンテッサ セコンダ[o1] ですか
エプソンさんの写真専用プリンターですね。選んだ理由の一つに、エプソンの本社が長野県にあるからというのもあって。僕自身、普段から長野の山々にめちゃくちゃお世話になっていますし、できるだけ日本のメーカーの製品を選びたいという思いもありました。

YouTubeでは届かない人たちにも、クラシック音楽の魅力を届けたい
―最後になりますが、これからnacoさんがやってみたいことを教えてください。
2025年に出版した『作曲家から知る「教養」としてのクラシック音楽』(KADOKAWA)をきっかけに、たくさんの方にクラシックの魅力を伝えられるようになったと感じています。現在、12月に発売予定の『サブスクから始める“聴き比べ”クラシック(仮)』(主婦と生活社)の準備を進めているのですが、これはクラシック音楽の聴き比べや楽しみ方を紹介する内容になっています。

―それは楽しみ! YouTube以外の場所にも活動の幅を広げていくんですね。
そうですね! 2027年1月13日に東京オペラシティ コンサートホールでの『厳選クラシックコンサートVol.6』と、同年9月30日にサントリーホールで『厳選クラシックコンサートVol.7』の開催が決まりました。今後、新しいコンサートシリーズや地方公演なども企画しています。
©JUNICHIRO MATSUO
YouTubeで自分の好きなクラシック音楽の魅力を発信しながら、コンサートや出版など様々な伝え方でクラシックそのものの楽しみ方も広くお伝えしていきたいですね。
―本日はありがとうございました。最後に僭越ながら、いつものYouTubeの締めのご挨拶をお願いしてもいいですか?
それではまた次の動画でお会いしましょう。Bravi!

naco
YouTuber
登録者35万人を超えるYouTubeチャンネル『厳選クラシックちゃんねる』でクラシック音楽を紹介するYouTuber。
YouTubeでの発信に加え、クラシックコンサートの企画・主催・MC、講演・セミナーへの登壇、書籍執筆や雑誌・オーケストラのプログラムノート連載、テレビ・ラジオ番組への出演など、活動の幅を広げている。第1回「クラシック音楽アワード」受賞、クラシック音楽アンバサダー就任。著書に『作曲家から知る「教養」としてのクラシック音楽』(KADOKAWA)。2026年12月に新刊『サブスクからはじめる聴き比べクラシック入門(仮)』(主婦と生活社)出版予定。
HP:https://nacoclassic.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@nacoclassic
取材・編集;桒田萌(ノオト) 執筆:つるたちかこ 写真:飯本貴子
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